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「不謹慎狩り」が起きる理由--ネットの言説に流される若者たち - (page 2)

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「ネットの空気感」に素直に従う若者たち

 「ネットの空気感」や、ネットで好まれる言説というものははっきりと存在する。たとえば、韓国や中国を嫌い、現政権や新聞社などのメディアを悪く言う風潮を感じたことがあるだろう。しかし、これは必ずしも多数派の意見ではない。

 たとえば選挙時でも、私の周辺では無党派新人の人気が高かったが、実際は現職が強く、圧倒的大差で当選するというようなことはしばしば起きている。ネットでの言説は多数派ではなく、実際はそれ以外の考えの人たちの方が多いというわけだ。

 15~19歳を対象としたジャストシステムの「10代のスマホ利用状況に関するアンケート調査」(2015年11月)を見ると、「もっとも好きな情報源」の1位は「Twitter」(39.0%)だった。続いて、「テレビ」(19.2%)、「LINE」(10.3%)、「インターネット記事」(10.2%)と、ネットが優勢となった。

 実際に話を聞くと、ネットしか見ていない若者は少なくない。テレビ番組や音楽もネット経由でスマートフォンで消費し、ネットでは好きな記事だけを読んでいる。しかも、SNSで過ごす時間はとても長い。大人はTwitterでは興味関心が近い見知らぬ人とも交流するが、10代を中心とした若者たちは、Twitterでも仲間内でつながり、やりとりすることを好む。

 つまり、ネットの中でごく限られた人たちとのみつながって過ごしていることになる。ネットの中だけで過ごしていると、周囲の意見がすべてと思い込んでしまうことがある。ネットで人気の言説が一般的な見解と思い込んでしまうのだ。

ネットの言説は一般的な見解ではない

 ある20代の男性は、剣道4段の腕前があり、中国で「剣道ができる日本語教師」になれたにもかかわらず、「中国は嫌いだ」という理由で行くことなく、日本で意に染まない仕事に就いた。ネットを見ていると「中国人は日本人を嫌っている」と思えるかもしれないが、実際は友好的な人たちも多数存在する。ネットの言説だけを信じるのではなく、現地に足を運んで話してみる機会を持っても良かったのではないか。

 ネットで「不謹慎」という言葉が飛び交っていても、本当は現地の人たちはそのように感じていないことは、実際に現地の人たちに聞けば分かることだ。経済活動を営むことも大切であり、過剰な自粛は何も生まないだろう。

 ネットでの言説はあくまでごく一部の意見に過ぎない。ネットの意見を鵜呑みにして流されることなく、自分の目や耳、足で確かめることこそが大切だ。そして、若者たちが自分の意見や考えを持ち、判断できるよう、周囲の大人は見守ってあげてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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