Facebook、世界でのネットアクセス向上を目指し新技術--「Terragraph」「ARIES」を発表

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 佐藤卓 長谷睦 (ガリレオ)2016年04月14日 10時53分

 Facebookが米国時間4月13日、世界中のネットワークアクセスを劇的に向上させることを目指し、地上に基地局を配置するさらに2つのテクノロジを提供する計画を同社開発者会議F8で発表した。

 その1つは、高周波の電波を利用して人口密集地域のネットワーク速度を向上させる「Terragraph」だ。もう1つは、比較的貧しい地域や農村地域で現在広く使われている速度の遅い無線データサービスを、より多くのユーザーに対応できる高速で受信可能範囲の広い通信に切り替えることを目指した「ARIES」プロジェクトだ。

 ただし、Facebookは自前でネットワークを構築するつもりはなく、インターネットサービスプロバイダーや通信事業者の協力を得る予定だと述べている。

 Terragraphでは、街灯に取り付け可能なアンテナを利用して対象エリアをカバーする。一方のARIESでは、既存の携帯電話ネットワークに使われているアンテナ(高速道路沿いや建物の上で見かける巨大な電波塔)を活用することになる。

 Terragraphでは、「WiGig」または「802.11ad」と呼ばれる、すでに存在するがあまりなじみのないテクノロジの改良版を利用する。このプロジェクトでは、無線信号が60GHzの周波数で振動する電波を用いるが、この値はテレビ放送や携帯電話のネットワーク接続に利用される周波数の100倍近いものだ。このような高周波が優れている理由は、多くのデータを送信できるうえ、高額な政府による周波数の競売を経ることなく、誰もが無料で利用できる点にある。ただし、高周波の無線信号はあまり遠くに届かず、壁を通り抜けることもできないため、Terragraphのアンテナになるべく近い場所に行かなければ利用できない。そこでFacebookでは、Terragraphの基地局を200~250m間隔で設置することを考えている。

FacebookのTerragraphプロジェクトは街灯のアンテナに取り付けられる。
FacebookのTerragraphプロジェクトは街灯のアンテナに取り付けられる。
提供:Facebook

 Facebookはこのテクノロジを自社のキャンパス内で利用しているほか、シリコンバレーをさらに南に下ったカリフォルニア州サンノゼでも試験運用を実施する計画だ。

 一方のARIES(Antenna Radio Integration for Efficiency in Spectrum)は、開発の初期段階にあるプロジェクトだ。その目標は、スペクトル効率、すなわち一定の帯域幅で送信可能なデータの量をできる限り高めることにある。この値を高めれば、より多くのユーザーが1つのネットワークを利用できるようになるが、ARIESでは遠隔地に住む人たちがネットワークにアクセスできるよう、伝送距離を伸ばすことも狙いとしている。

 Facebookは将来的に、2020年にも登場が予想される第5世代(5G)ネットワークにARIESテクノロジを組み込みたいと考えている。そうなれば、携帯電話や自動車をはじめとする各種デバイスをネットワークに接続する、高速で信頼性の高い手段になるという。

FacebookのARIESプロジェクトは、電波が届く範囲を拡大するために特定の向きに向けて送信する小さなアンテナを多数使用する。
FacebookのARIESプロジェクトは、電波が届く範囲を拡大するために特定の向きに向けて送信する小さなアンテナを多数使用する。
提供:Facebook

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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