もちろん、前もってつながることでトラブルも起きるが、メリットもある。大学生の場合は、特に地方出身者などは入学前に知り合いができたり、学校付近の地元情報を得られたりするなど、非常に心強い存在になっている。
地方出身の大学1年女子C子は、アパートを決める時に不動産屋情報や近くのお勧めの駅などをLINEやTwitter経由で教えてもらい、無事に決めることができたそうだ。「LINEやTwitterの情報がなかったら、今の場所は選択肢として想像できなかった」という。
どちらかというと人見知りしがちなC子だが、前もってTwitterやLINEで交流していたおかげで、入学前から一緒に食事をしたりする仲間ができて心強いそうだ。「まだ顔を合わせていない人同士だったけれど、同じ大学に入学する仲間という安心感があった。LINEやTwitterは人間関係の上で大切」。
以前、いじめで不登校気味だった中学生に話を聞いたことがあるが、その時に支えになったのが、会ったこともないネット上の人間関係だったという。オンラインゲームで知り合った仲間に励まされたのだ。「仲間ができて、頼りにされたのが嬉しかった。社会人も混じっていて、心配してネット経由で話を聞いてくれた」。結局、そこでの経験を支えにして、また学校に行けるようになったそうだ。
SNSは元々、人間関係をスムーズに築くためのツールとして誕生したものだ。リアルな人間関係のコミュニケーションツールであり、遠距離でなかなか会えない人同士でつながったり、周囲にはいない同じ趣味同士の人間関係をつなぐ役目も果たしている。
SNSだけのつながりでも、心の支えになるならいいだろう。しかし、SNSに頼りすぎて“ネット弁慶”になっていてはもったいない。10代は、失敗もしながらコミュニケーションを実地で体験して学ぶべき時だ。さまざまなコミュニケーションを通して、人間関係を築く力を身につけ人生を豊かにしてほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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