米政府はまだ、Appleに「iPhone」ロック解除を求めている。今度はテロ対策ではない。
米司法省は米国時間4月8日、ニューヨーク州の連邦地方裁判所に対し、麻薬密売者が使用していた「iPhone 5s」のロック解除をAppleが支援する必要はないという2月下旬の判断を不服として、上訴する意向を伝えた。端末の所有者は罪を自白しており、5月に判決を受けることになっている。
「米政府は引き続き、捜査令状によって権限が認められたデータにアクセスするためのAppleの支援を要請する」と同省は裁判所に提出した文書で述べた。
Appleの弁護士は8日、報道陣に対して匿名を条件に、政府がニューヨークでの訴訟続行を決断したことに遺憾の意を示したが、Appleは驚いてはいないと述べた。政府は法執行機関によるiPhoneロック解除をAppleに強制的に支援させるという前例を作ろうとしているというAppleの見解を、同弁護士は繰り返した。
Appleは意見書に対する回答を14日に提出する。その後、この問題に関する公聴会が開かれる予定だ。
米政府は「iPhone」ロック解除の支援をAppleに要請する訴訟を複数起こしており、ニューヨークの訴訟はその1つ。最もよく知られているのが、2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノの銃乱射事件に関連する「iPhone 5c」に関する訴訟だ。この訴訟では、Appleが激しく抵抗したことから、米政府はサードパーティー企業にロック解除を依頼した。このロック解除方法はiPhone 5cにしか適用できず、iPhoneのそれ以降の機種には適用できない。FBIはそのロック解除方法を、まだAppleに伝えていない。
どちらの訴訟でも、米政府は2世紀も前に定められたAll Writs Act(全令状法)を根拠にAppleに支援を要請した。ニューヨーク州連邦地方裁判所の判事は、その法律を基にAppleに支援を強制することはできないとの判決を下したが、司法省はその判決を覆したい考えだ。Appleが支援するべきか否かは、米国内の個々の裁判所の判断にゆだねられている。
ボストンの麻薬組織Columbia Point Dawgsの一員とされる人物が所有する「iPhone 6 Plus」など、法執行機関がロック解除を要請するiPhoneは多数存在する。8日には、ある判事が2月、FBIを支援するようAppleに命じていたことを示す文書が明らかになった。
Appleの弁護士は8日、Appleはニューヨークの訴訟を通じて、端末のロックを解除するためにFBIが取った方法を把握するつもりだと述べた。All Writs Actを適用するには、米政府は、端末から情報を取得するためにAppleの支援が必須であり、それを行うことがAppleにとって過度の負担にはならないことを示す必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス