Googleがリアルタイムの顔認証技術を開発している。ユーザーが銀行口座や電子メールアカウントにログインする際に、スマートフォンの前面カメラを使って連続的にユーザーを認証する技術だ。
連続認証は、セッションの開始時に認証情報を使用するだけの現在の手法を改良する有望な技術と見なされている。
セキュリティ専門家Lenny Zeltser氏が説明しているように、連続認証を実現する1つの方法として、スマートフォンのセンサを使って、ユーザー本人のキーストロークや指紋などの生体信号を受動的に監視し、別人によるなりすましを検出した場合はアクセスをブロックするやり方がある。
スマートフォンのカメラを使った顔認証は、同じ目的を達成するための別の手法だ。しかし、新しい論文の中で複数の研究者は、過去の事例がリアルタイムでの使用に十分適しているとは言えず、実際の状況でカメラが捉えるものを検出するように設計されたものではないと強調している。
日常的な使用において、連続認証技術は、部分的にしか映らない顔の画像にも対処できなければならない。このことは、顔認証システムの顔認知能力に影響する。
メリーランド大学、ラトガース大学、GoogleのAdvanced Technology and Projects(ATAP)部門の研究者らは、この問題を解決したと考えている。
研究者らは、機械学習技術を取り入れた簡潔なアルゴリズムを開発中だ。このアルゴリズムは、スマートフォンがビデオモードのとき、前面カメラが顔の一部を認識し、リアルタイムの顔認証を実行することを可能にする。
いわゆる「顔セグメントベースの顔検出器(FSFD)」には3つのフェーズがあり、最初は、人の顔を捉えた複数の画像を使用する。これらが、トレーニング用の画像となる。
これらの画像は、例えば顔半分、左目と右目などのセグメントに分割され、トレーニング用の画像を元に顔領域を推定するためにグループ分けされる。
機械学習フェーズでは、グループ分けされたこれらの顔セグメントを使って「推定される顔」を合成し、これにより、顔認識システムは顔の部分画像に信頼できるレベルを指定できるようになる。
「中心となる考え方は、フレーム内で顔セグメントを検出し、検出結果を集めて顔が含まれる可能性が最も高い領域を得るということだ」と、研究者らは記している。
研究者らは、「iPhone」ユーザー50人の顔を照明の異なる環境で前面カメラによって撮影した動画を使って、このシステムをテストした。
この研究結果によると、FSFDは顔のパーツと正面から見た顔を検出することができ、「周りの明るさや、映す角度にほとんど影響を受けなかった」という。
顔のごく一部だけが映っている、あるいは極端な角度から撮影している、手振れが大きいという場合にのみ、うまくいかなかった。
研究者らは、FSFD技術は「高い精度で再現できるため、モバイル機器での顔ベースの連続認証に適している」と考える。取り組みの次のフェーズでは、顔の特徴点を正確に検出することについて研究する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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