電通国際情報サービスのテクノロジー・ブティックである「INNOLAB(イノラボ)」は3月30日、ロボットをファッションの一部として”身に着ける”というコンセプトのウェアラブルロボットアーム「METCALF clione(メカフ・クリオネ)」を発表した。
今後は、グランフロント大阪で開催される「うめきたフェスティバル」の会場で4月2日まで展示されるほか、6月にはフランスで行われるアートイベント「バンニューメリック」に出品するという。
METCALFは、INNOLABが新研究領域として“Robotinity & Fashion”を立ち上げたことに合わせて外部研究員として招聘した、ロボティクスファッションクリエイターである“きゅんくん”が、2年ほど前から開発。今回発表されたMETCALF clioneは、きゅんくんが開発した従来機を軽量化したもので、「METCALF」というネーミングは“メカ服”からとったものだという。
きゅんくんは元々ロボット工学を専攻していたが、ファッションにも興味を持ち、“ファッションとしてのロボット”を研究・開発しているという。また、開発にあたってはグラフィックデザイナーのRei Nakanishi氏が参画し、ロボットにグラフィックデザインの要素を取り入れているそうだ。
METCALF clioneは肩に背負って着用する。筐体にはアクリル板とアルミニウムを採用して軽量化しており、長時間着用していても負担が少ないのだという。またソフトウェアにはアスラテックの「V-Sido OS」を採用しており、スマートフォンアプリでロボットアームを操作できる。アプリでは、ロボットアームを左右に開いたり、閉じたりすることが可能。きゅんくんによると、この開閉時の動きは自身が習っていたバレエの腕の動きを参考にしているとのこと。
METCALF clioneについて、きゅんくんは「ファッションが人間の形にとらわれるのはもったいない。今後は、まず自由度(ロボットにおける関節の数)を高め、より柔軟な動きを取り入れいく。また、肩だけでなく他のさまざまな部位のロボットも作って、いずれは多くの人がファッションとしてロボットを取り入れられるようにしていきたい」と語った。
METCALF clioneにはロボットとしての機能はなく、あくまでファッションの一部として身に着けることを目的に開発されている。この意図について、電通国際情報サービスのイノラボ チーフプロデューサーである森田浩史氏は、「ITがファッションのために何ができるのかという問いに対して、これまでの一般的な解釈では“ウェアラブル・スマート・デバイス”として機能やスペックの拡充に力点が置かれてきた。しかし、たとえばカフスボタンやスカーフなど、ファッションにおいては機能による選別ではなくデザイン性やファッション性によって手に取られるものが多い。同じように、ファッション表現を支えるために情報技術は実現できるのではないか」とコメント。
続けて、「ファッションを面白くするためのITの活用は、既存のファッションアイテムのスマート化だけでなく、環境条件にとらわれない自由度の高さと自己表現の拡大に貢献することだと考えている」と語り、ファッション表現の幅をITによって拡げることを目的としたアプローチによって、自己表現の多様化に対する貢献を模索したいとした。
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