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未来へのヒントがみつかる次世代デジタル戦略

「ヤフー トレンドコースター」を手がけたdot by dotの最新デジタル事例

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 スマートフォンを中心に、オムニチャネルやIoTなど次世代テクノロジを通じて生み出されるデジタルマーケティング戦略。そこにはアイデアやクリエイティビティが不可欠だが、それだけでは「これまでになかった体験」を提供することはできない。ユーザーに新たなエクスペリエンスを届けるために、欠かせない普遍性や本質とは何か。

 この連載では、デジタルを活用したコミュニケーション施策を発信する「コードアワード」に寄せられた作品から、デジタルマーケティングの「未来」を拓く“ヒント”をお届けする。

Oculus Riftで『進撃の巨人展』で公開されたアニメを体験する新野氏
Oculus Riftで『進撃の巨人展』で公開されたアニメを体験する新野氏

 今回は、カケザンのクリエーティブプランナー・新野文健氏による受賞作品インタビュー。第1回のゲストは「コードアワード2015」のグランプリ作品「ヤフー トレンドコースター」を手掛けた「dot by dot inc.」だ。後編では、CEOの富永勇亮氏、CTOのSaqoosha氏、CCOの谷口恭介氏、デザイナーの伊藤太一氏に、最新のクリエイティブ事例について聞いた。

あえて「PC」のみにターゲットを絞った理由

--最近、dot by dotが手がけたテクノロジ寄りの作品を教えてください。

富永氏:インビジブル・デザインズ・ラボという会社の音楽レーベルに所属しているエレクトロニカの音楽アーティスト、KAMRAさんのミュージックビデオを作りました。

谷口氏:「Artificial Emotions(人工感情)」というアルバムの中の「Deja vu」という曲だったので、ストレートにタイトルと絡めたコンセプトで作ることにしました。デジャブとは既視感という意味です。顔というのは普段みんなが一番見ているものなので、「自分の顔をデジャブする」という体験を、ユーザーにしてもらおうと考えました。

 そうすることで、曲自体を深く印象づけることが狙いです。ウェブカメラで撮影された自分の顔が、曲に合わせて表情を強制的に変えられていくことで、自分の顔に人工的な感情が芽生えていく、というアルバムタイトルを具現化しました。

 インディーズのアーティストなので、幅広い人に知ってもらうよりは、音楽やアートが好きなアーリーアダプターの人たちに深く認知してもらいたい、という狙いがありました。そのため、表現をあえて尖らせる、気持ち悪くすることを重視しました。

--どのような点に苦労しましたか。

「Deja vu」特設サイトでは、ウェブカメラで取り込んだ自分の顔が奇妙に変容していく
「Deja vu」特設サイトでは、ウェブカメラで取り込んだ自分の顔が奇妙に変容していく

富永氏:インディーズアーティストの場合、広告予算が取れるわけではないので、音楽とコンテンツの力による拡散しかありません。どのようにして広げていくべきかを考えることが重要です。ただ、アーティストの情報だけが広がってもあまり意味がありません。拡散と音楽を聞いてもらうことを両立させるにはどうしたらいいのかを、プロジェクトの立ち上げ当初からずっと議論していました。その中で、谷口から出た「顔を変形させていく」というアイデアをベースにして(作品を)完成させました。

 技術的な面では、どんな顔であれば気持ち悪く見せることができるのか。また、人に見てもらえるのかを考えながら、アートディレクターを務めたデザイナーの伊藤がさまざまなパターンを用意しました。その中でも一番こだわったのは「色」だそうです。その色を、ウェブでどのように実装すればいいのかという点について、伊藤とSaqoosha、映像担当の3人が試行錯誤していました。

「dot by dot」デザイナーの伊藤太一氏
「dot by dot」デザイナーの伊藤太一氏

Saqoosha氏:色の気持ち悪さを出すために、プログラムを使っていきなり気持ち悪くさせるのではなく、まずはPhotoshopでトーンを作って映像で動かしました。そして、それをプログラムで動かすという方法を取っています。グラフィックス技術として使用したのは、WebGLやフェイストラッキングですね。

--このウェブサイトは、PCでしか見ることができないそうですが、何か理由があるのでしょうか。

Saqoosha氏:今回でいうと、エッジを効かせた表現を優先した結果、あえてPCのみの展開にしました。表現の自由度を考えてPCブラウザのみを選択することも、ターゲット次第ではあると思います。エレクトロニカの本場である欧米からの評価も高く、そういった点でも狙いが成功したと言えそうです。

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