--話題になった「Rock 'n' Roll Panty(ロックンロールパンティ)」は、スピーカーの音圧で女の子のスカートがめくれてパンツが見えるという企画でした。本当に音圧でスカートがめくれているんですか。
富永氏:本当にバスレフ型スピーカーの音圧でめくれています。そこに一番こだわりました。この企画は音響界のプロフェッショナルな人たちに協力してもらったのですが、そのうちの1人が、インビジブル・デザインズ・ラボの松尾さんです。
FUNKTION-ONEというスピーカーを使っています。本格的なライブハウスで使われるようなもので、普通に買ったら数百万円するそうです。パンチラを成功させるためにそんないいスピーカーを使ったんですが、実験のしすぎでコーンが焦げついて壊れてしまいました。現場に重い空気が流れる中、スピーカーがもう1つあったので続けましたが、プロデューサーの関は顔が凍りついていましたね(笑)。
--「スカートをめくる」だけなら、送風機で同じように見せることもできます。そこまでして本物にこだわった理由は。
富永氏:見る側の気持ちでしょうか。送風機を使っても、共感を得ることはできません。「音圧でパンチラを実現したい」ということに真剣にトライすることによって、映像に深みを持たせられたんじゃないかと僕は思っています。
谷口氏:上手くいかなかったとき、送風機でやるという話も出てはいたんですよ。ですが、それはクライアントのスペースシャワーTVさんを含めて誰もがやろうとは言いませんでした。
--なるほど。dot by dotは先進的な技術を活用しているイメージが強いですが、今回の映像制作はかなり泥臭い作業だったのですね。
富永氏:そうですね。(「ヤフー トレンドコースター」で採用した)チェコで見つけてきたドライビングシミュレーターの話でいうと、米国やタイ、国産などいろいろなメーカーのものを、ひとつひとつ調べました。
Saqoosha氏:日本で取り扱っているものはもちろん、ドライビングシミュレーターは本当にたくさん見ました。その中で最も適していたのが、チェコのものだったんです。
--いま注目しているテクノロジやトレンドはありますか。
富永氏:テクノロジやトレンドを掴むことは大事だと思いますが、「このテクノロジを使いたいからやろう」という発想でできあがったものは面白くないと思うのです。それよりもコンセプトがあって、それに合ったテクノロジを探すほうが重要なんじゃないかと。表現の方法は脳内の片隅にあるものなので、「この企画だったらアレなんじゃないの?」という発想の方が重要で、テクノロジありきではないんです。
--非常にユニークな人材が揃った中で、ものづくりの際に心がけていることはなんでしょう。
富永氏:僕は経営者なので経営側の視点からいうと、みんなが面白がってものを作れる場を用意することが大切ですね。あとは、彼らを信じて自由に任せることです。ロックンロールパンティのときもそうですが、安全な策を練るのであれば、スピーカーよりも送風機で風を送る方が確実なんです。しかし、そこで新しいことに挑戦したり、みんなが何かに面白さを見出して全力を注げる場を作ることが大事だと思います。
これは社名の由来にもなっています。「dot by dot」は映像機器の専門用語で「ピクセル単位の等倍」という意味で、“個と個が対等にものを言い合える”ということです。社長である僕が出した案でも「それ面白くないでしょ」と普通に言い合える関係が重要だと思っています。
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