春の訪れとともに、旅行気分が盛り上がる季節。ゴールデンウイークに向けて、海外旅行の計画を立てはじめた人も多いのではないだろうか。春の風が運んでくる花粉と並び、この時期の厄介者とされているのが「黄砂」だ。
黄砂とは、アジア大陸の乾燥地帯から発生した砂塵で、PM2.5をはじめとする大気汚染物質が多く含まれるもの。発生の頻度には季節性があり、春は黄砂の飛散に最適な気象条件が整いやすい。そのため、日本には東アジアを経由する低気圧の通過にともなって、観測されることが多くなる。2016年も3月に入ってから、日本全国各地でPM2.5が高い値で観測される日が増えている。
黄砂現象の発生がみられるのは、もちろん日本だけではない。アジア大陸の広範な地域でこれからピークを迎えることから、東南アジア圏へ旅行に行く場合には、PM2.5の数値に特に注意を払ったほうが良い。また、これから観光のベストシーズンを迎える欧州でも、昨今大気汚染が深刻な問題となっている。
旅行先でも、今日の天気を確認するように、自分が今いるエリアの大気汚染状況を確認することが必要と言えるだろう。今回は、世界各地の大気汚染の状況を“可視化”した欧州発の便利なサービスを紹介しよう。
フランスのスタートアップ企業「Plume Labs」は、世界の大気汚染の状況をリアルタイムで表示する「Plume Air Report(プラム・エアー・レポート)」を提供している。公式ウェブサイトのほか、iOSアプリやAndroidアプリも公開している。
世界1万1000カ所の環境機関で公表されているデータを毎日収集。大気汚染の少ないことを示す“青色”から汚染レベルの高い“黒色”まで、ビジュアルで分かりやすいよう世界各地を色分けし、大気汚染の状況を可視化している。世界200都市を対象に、大気汚染状況をリアルタイムで伝えてくれるサービスだ。
Plume Air Reportでは、汚染の度合いを5段階のレベルで教えてくれる。スマートフォン用アプリ、ウェブサイトともに英語のみとなっているが、ビジュアルイメージを多用した仕上がりとなっているので、誰でも直感的に操作できる。
PM2.5の直径は、人の髪の毛の約40分の1という微粒子。肺の奥、さらには血管まで侵入し、ぜんそく、気管支炎、肺がん、心臓疾患などを発症・悪化させ、死亡リスクも増加させるといわれている。高齢者や子ども、肺や心臓に疾患のある人は、大気汚染に対してより高いリスクを有するため特に注意が必要。数値が高いときは、屋外での長時間に及ぶ激しい運動や不要不急の外出などは控えたほうが安心だ。
その日の汚染状況に併せて、「屋外での運動に適しているか」「乳児を外に連れ出すのに適しているか」「屋外でのサイクリングに適しているか」「屋外での飲食に適しているか」の4つのシーンに合わせたアドバイスを発信してくれる。ウィジェットの通知設定をしておけば、大気汚染のレベルに照らして、自動的に通知してくれる。Apple Watchにも対応しているため、ランニングの際にも手元で状況を確認できる。
このサービスの最大の特長は、1つのアプリで世界中をカバーしているところだ。大気汚染指数(API)をチェックするアプリは多々あるが、確認できるエリアが限定的であることがほとんど。海外旅行先や出張エリアが広範な場合、数多くのアプリをインストールしなければならないという煩わしさがあった。
しかし、Plume Air Reportでは、1つのアプリ内で世界中の情報を網羅することが可能だ。設定画面で確認したい都市を追加して「MY CITY」を作り、常時必要なエリアをチェックできる。東京、横浜、名古屋、大阪、福岡など、日本の主要13都市の大気汚染の状況もチェックできるので、日常的に活用してみてはいかがだろうか。
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