「アジア最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマーの政権は、2015年11月の総選挙を経てようやく軍事政権から民主政権へと移行を果たした。こうした状況から容易に想像できるが、外資規制もこれまでは厳しく、交通など社会インフラのIT化が著しく遅れていたことは否めない。
同国のIT化が緩やかではあるものの進み始めたのは2013年。2012年に国際社会からの経済制裁措置などが緩和され始め、外国投資法(外資法)規制も見直された。これにより、外資の通信事業社が参入し始めた。
移動体通信サービスを提供するノルウェーのTelenorと、カタールのOoredooが参入し、翌年の2014年から本格的にサービス提供を開始。それをきっかけにして通信インフラの整備が進み、SIMカードの価格も一般消費者が購入できるほどにまで下げられた。
こうした背景から、近年ミャンマーにおけるモバイル端末の普及率は上昇している。SIMカードの普及率も人口の20%と、周辺国には遠くおよばないが、IT産業活発化の芽はたしかに出始めている。
そんなミャンマーの今を象徴する女性起業家がいる。ミャンマー人の女性、Thet Mon Ayeさんだ。
Thet Mon Ayeさんは、ロンドン大学で計算機科学を学んだ後、2013年にミャンマーに帰国。ソフトウェア開発に従事するIgnite Software Solutionを立ち上げた。その後、2014年に国内長距離バスのオンライン予約サービス「Starticket」を開始した。
ミャンマーでは、バスは市民にとって長距離移動する際の重要な手段。しかし、これまでオンラインで予約するためのシステムが整備されていなかったため、チケットを購入するには毎回バスターミナルを訪れ、長蛇の列に並ぶ必要があった。Thet Mon Ayeさん自身も、長距離バスを頻繁に利用する1人。自身が感じた不便さが、サービスの着想につながった。
Starticketは、ウェブブラウザとAndroidアプリで提供されている。氏名とメールアドレスを登録すれば、誰でも無料で利用できる。予約方法はいたってシンプル。日付と出発するバスターミナル、行き先を選択すると、複数のバス会社から条件に合った候補が提案されるので便と座席を選ぶ。その後、決済をすれば予約完了だ。
選べる決済手段もクレジットカードやコンビニエンスストアでの店頭支払い、代金引換など充実している。分かりやすいサイト設計はオンライン予約にこれまで慣れ親しんでこなかったユーザーには嬉しい。
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