仮想現実(VR)は、レーシングカーでサーキットを疾走しているような気にさせてくれる。だが、まわりの様子を360度見ることができるのなら、コーナリングをするときの「動き」を感じることができてもいいのではないだろうか。
「Entrim 4D」は、それを実現しようと試みたヘッドフォンだ。テキサス州オースティンで米国時間3月11日から開催されている映画と音楽とインタラクティブのフェスティバルSouth by Southwestで公開されたこのプロトタイプは、製品アイデアを開発する従業員に本来の仕事を休むことを認めるサムスンの新規事業「インキュベーター」であるCreative Labから生まれたものだ。
一般的なヘッドフォンとは異なり、Entrim 4Dの主な目的は音を聞かせることではない。もちろん音も出るのだが、そのもっとも重要な機能は、平衡感覚と動きを調整する耳の神経に電気的な信号を送ることだ。この仕掛けによって脳がだまされ、ユーザーは自分が動いているように感じる。
このプロジェクトを率いる32歳のSteve Jung氏は、「多くのVRデモでは、ユーザーが椅子に座っている」と15日に行われたインタビューで語った。つまり、通常のVR体験に「動き」は含まれていないということだ。
その「動き」をうまく取り入れることができれば、それでなくても没入的な環境に、もっと完全に近い感覚体験がもたらされ、仮想現実に重要な一要素が加わることになるかもしれない。実際、Jung氏によると、Entrimは「Enter the immersive world(没入的な世界に入る)」を縮めて作られた名前だという。VRに対するシリコンバレーの思い入れを考えると、そうした体験に付け加えられるものがあるのなら、それが何であれ大きな意味を持つ。Google、HTC、Facebook(サムスンが「Gear VR」ヘッドセットで提携するOculusは、このソーシャルメディア傘下のVR企業だ)は、いずれもその方面で独自の取り組みを進めている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力