IT関連企業で組織するセーファーインターネット協会(SIA)は3月9日、インターネットに存在する違法・有害な情報に関する相談を受けつけ、警察に通報したり、サイト運営者やプロバイダなどに削除を依頼したりする「セーフライン事業」の2015年の活動をとりまとめたレポートを公表した。
これによると、2015年にSIAが通報を受けた情報の件数と、自主パトロールにより把握した情報の件数は計3万9550件。そのうち、違法・有害情報として把握したのは7064件で、全体の95%にあたる6711件が国外にサーバのあるウェブサイトに掲載された情報だった。ここでの「有害」とは、SIAが専門家の意見を聞きながら、表現の自由に配意して独自の定めたものだ。
削除を依頼したのは6898件。そのうち5239件が依頼どおり削除された。
削除依頼数が最も多いのは「児童ポルノ」で、5466件。SIAが児童ポルノを把握する自主パトロールに注力したことから、2014年の86件を大きく上回った。削除を依頼した5466件のうち、4333件が削除された。
児童ポルノの傾向として、画像アップロードサイトに当該画像がアップロードされ、アップロードした画像のURLが、児童ポルノ愛好者が集まる掲示板などに掲載される例が多いという。
本人の意思に反して性的な映像などがインターネットに掲載される「リベンジポルノ」の相談数は25件。これらにもとづく削除依頼数は472件で、381件が削除された。削除に要した期間は「6割以上が3日以内」、「8割以上が2週間以内」。
SIAでは、リベンジポルノの被害拡散の防止には早期対応が重要であるものの、1人で悩みを抱えている被害者も多く、被害者救済に役立つ情報の発信を強化する必要があるとし、被害者支援の啓発サイトを公開。相談窓口、警察への通報窓口などを案内している。
SIAは2013年設立。会員企業は、正会員がヤフー、アルプス システム インテグレーション、ピットクルー。賛助会員がミクシィ、グリー、サイバーエージェント、アマゾン ジャパン、さくらインターネット、GMOグローバルサイン。会長はヤフーの執行役員で社長室長である別所直哉氏が務める。
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