ソフトバンクロボティクスとマイクロソフトは3月8日、クラウドロボティクス分野で協業すると発表した。
ソフトバンクロボティクス 代表取締役社長の冨澤文秀氏は、労働人口が2045年には2015年に比べて約30%減るほか、訪日客が2014年比で2016年は1.8倍に増加することが予測されるとし、日本の人材難と環境の変化によって特に小売業には課題があると説明する。それらを解決するのが、今回のソリューションだ。
人員不足や、翻訳機能で外国人の接客対応などの課題を解決──。第1弾として、人型ロボット「Pepper」とクラウドプラットフォーム「Microsoft Azur」を活用し、客のニーズに応じた接客をする小売業界向け次世代型店舗ソリューション「未来の商品棚(仮称)」を共同で構築する。
具体的には、マイクロソフトの大画面コラボレーションデバイス「Surface Hub」と2in1デバイス「Surface」を使い、次世代のクラウド対応ロボットソリューションを開発。未来の商品棚を導入すると、販売店はPepperをあらかじめ接客スキルを備えた接客要員として店舗へ配置できるほか、店頭からのリアルタイムフィードバックによる効率的な在庫管理が可能になる。
客も店頭でSurface HubやSurfaceを利用して視覚的かつ分かりやすく商品を選択できるほか、Pepperの提案により自分好みの商品を選べるとしている。ソフトバンクロボティクスと日本マイクロソフトが連携し2016年秋をめどに日本市場で提供予定だ。
冨沢氏は「人件費の削減、売上げのアップ、顧客体験も豊かになる。将来のリテールのひとつの方角になるのでは」(冨澤氏)と説明する。
発表会では、日本マイクロソフト 代表執行役 社長の平野拓也氏がショップに来店し、Pepperが対応するデモを披露。Pepperが顔を認識しておよその年齢を判別し、人気のアイテムなどを勧めるというもの。実際にPepperは45歳男性(平野氏の実年齢)と的確に判別し、Lightningコネクタケーブルをリコメンドした。
平野氏がSurface Hubの画面をタッチして手続きすると、近くに設置されたプリンタから「注文書」が発行された。
店頭に置かれたPepperやSurface Hub、Surfaceはクラウドプラットフォーム Microsoft Azure接続されている。店頭での顧客行動やPOS売上などの膨大なデータを随時取得し、スマートフォンやEコマースなどのオンラインにおける同様のデータと統合した上でMicrosoft Azure上にあるAzure IoT Suiteで解析。これらの情報をもとに、オムニチャネルで顧客のニーズをリアルタイムで把握し、そのニーズに沿った商品をSurface HubやSurface上で表示したり、Pepperが提案したりできるようになっている。
店舗で接客を重ねることで、Azure IoT Suiteの機械学習機能を通して、よりプロアクティブかつ適切な「おもてなし」を実現するほか、今後は、Microsoft Translatorによる多言語対応の導入や、PepperとMicrosoft Azure上で提供される顔や音声の認識技術やマイクロソフトのパーソナルアシスタントであるCortanaを組み合わることで、海外からの来訪者にも対応し、より細かい接客をできるようにするという。
平野氏は「MSのクラウドが、お客様により近く感じてもらえるソリューション。お客様にとって最高のおもてなしを提供できるのではないか」と語った。
なお、今秋の販売に先立ち、3月24~30日までの期間限定でオープンするロボットだけで接客する携帯電話ショップ「Pepperだらけの携帯ショップ」にて、今回のソリューションの実証実験を行うとしている。
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