マサチューセッツ工科大学(MIT)の出版している技術雑誌MIT Technology Reviewは、注目すべき10種類の革新的技術をまとめたリスト「10 Breakthrough Technologies 2016」を公開した。免疫工学、ゲノム編集、再利用可能ロケット、空中発電といった技術を紹介している。
![MITの注目する革新技術10選(出典:MIT Technology Review)](/storage/2016/02/25/2a89fc06209fbc3c41b775d4d4ed6a8c/2016_02_24_sato_nobuhiko_033_image_01.png)
MITの注目する革新技術10選(出典:MIT Technology Review)
同リストは、困難な問題を解決したり、新たな道を切り開いたりする可能性のある革新的な技術を毎年10個選んで紹介するもの。MIT Technology Reviewは、各技術が数年でブレイクスルーをもたらすと予測している。
2016年版リストで取り上げた技術は以下のとおり。
免疫工学:がん細胞を攻撃するようプログラミングされたキラーT細胞など、遺伝子操作された免疫細胞はがん患者の命を救いつつある。この技術による取り組みは始まったばかりで、実用化は1年から2年先だ。
植物に対する緻密なゲノム編集:ゲノム編集技術「CRISPR」は、低コストかつ正確にゲノムを改変し、災害や渇水などに強い植物を作れる。実用化は5年から10年先。
対話式インターフェース:音声認識と自然言語理解の技術を組み合わせ、スマートフォンでも容易に利用可能なインターネット環境向けの対話式インターフェースを実現させる。すでに実用化済み。
再利用可能なロケット:これまでのロケットは使い捨てだったが、人工衛星などを軌道投入した後に着地し、再度打ち上げられる再利用可能ロケットが登場した。
![再利用可能なロケット(出典:MIT Technology Review)](/storage/2016/02/25/efa1a0e953c11f48a3fe2f748c22a5c0/2016_02_24_sato_nobuhiko_033_image_02.jpg)
再利用可能なロケット(出典:MIT Technology Review)
互いに教え合うロボット:ある作業を学習したロボットが、クラウド経由でその“知識”をほかのロボットへ伝える技術。実用化は3年から5年先。
![互いに教え合うロボット(出典:MIT Technology Review)](/storage/2016/02/25/af84f0c8dceec15740c7d20a79eb8e58/2016_02_24_sato_nobuhiko_033_image_03.jpg)
互いに教え合うロボット(出典:MIT Technology Review)
DNA版アプリストア:DNA配列情報をオンライン販売するビジネスモデル。健康面のリスクを学んだり、特定の病気になりやすい傾向を分析したりできる。2016年に登場する。
![DNA版アプリストア(出典:MIT Technology Review)](/storage/2016/02/25/130657b51cc6a4e9bd17ef96af0638ec/2016_02_24_sato_nobuhiko_033_image_04.jpg)
DNA版アプリストア(出典:MIT Technology Review)
SolarCityの巨大工場:住宅用太陽発電システムを手がけるSolarCityが、ニューヨーク州バッファローで巨大な太陽光発電パネル工場を建設している。この工場ではシンプルで低コストな製造プロセスを採用し、1年間に累計発電量1GW相当の高効率ソーラーパネルを製造する計画。2017年の操業開始予定。
メッセージングアプリ「Slack」:ワークプレイス向けコミュニケーションソフト「Slack」が、メールに取って代わろうとしている。
Teslaの自動運転機能「Autopilot」:電気自動車(EV)メーカーのTeslaが自社製EV向けソフトウェアアップデートを提供し、自動運転が突然現実のものとなった。
飛び交う電波から電力を得る技術:無線LAN(Wi-Fi)やLTEなどのデータ通信用電波から電力を得る技術により、小さなコンピュータとセンサの利用領域が広がるだろう。実用化は2年から3年先。
![飛び交う電波から電力を得る技術(出典:MIT Technology Review)](/storage/2016/02/25/bfc1457e4c1b8267f852d8ced9e4710f/2016_02_24_sato_nobuhiko_033_image_05.jpg)
飛び交う電波から電力を得る技術(出典:MIT Technology Review)
なお、同リストを掲載したMIT Technology Review誌の3月/4月号は3月1日に発売される。