みずほ銀行は2月22日、ベンチャー企業のマネーツリーとPFM(Personal Financial Management)分野で提携すると発表した。4月をめどにスマートフォンアプリ「みずほダイレクトアプリ」に新機能を追加する予定だ。
PFMは、複数の銀行や証券、クレジットカード、電子マネーなどの口座や残高、ポイントなどを一元的に管理し、確認できるサービスだ。マネーツリーは、個人資産管理アプリ「Moneytree一生通帳、家計簿より楽チン!」を2013年から提供しており、アップルの「App Store Best of 2013/2014」を2年連続で受賞するなどPFM分野で先行している。シンプルなユーザーインターフェースで、使いやすさと信頼性には定評がある。
今回の提携では、マネーツリーが提供する金融インフラサービス「MTリンク」を活用し、入出金明細照会が登録以降は無期限で閲覧できる「一生通帳」を導入するほか、普通口座や定期口座、積み立て口座など、登録したみずほ銀行の合算残高の表示、ユーザー体験の向上などを目的としている。
みずほフィナンシャルグループ インキュベーションPT PT長の阿部展久氏は今回の目的について、「一言で言えば、お客様のサービス向上に尽きる」と説明する。
みずほ銀行の口座を持っている個人は約2400万人おり、その半分がインターネットバンキングなどを利用できる「みずほダイレクト」の契約者だという。一方で、アプリの利用者は数十万にとどまっており、「まだまだブラウザ、スマートフォンからブラウザでアクセスするという人が多い。このサービスがあることで、100万、200万に増やしていければと思っている」と背景を語った。
その上で、「お金の状況をいかに“見える化”するかが課題。お客様の今の状況をしっかり見ていただける状況をつくり、そのお金を投資など違ったものに振り向けたり、ここを削れば貯蓄ができるのではないかと考えたりしてもらう一つのきっかけになるのではないか」と説明した。
みずほ銀行によれば、過去の通帳記録をずっと履歴として持ちたいというニーズはあるが、2400万人いる利用者の取引を期限なしに持ち続けるには、膨大なストレージが必要になるため難しいという。今回、マネーツリーと連携することにより、登録後からは無期限で閲覧できるようになる。
なお、みずほダイレクトアプリで一生通帳の機能を利用するには、マネーツリーへの登録手続きが必要だ。名前や住所などの個人情報なしに、メールアドレスとパスワードだけで登録できる。すでにマネーツリーアプリを使用している人は、みずほダイレクトアプリでも新規に登録することなく機能を利用できる。
マネーツリー 代表取締役 ポール・チャップマン氏は、「スタートアップとメガバンクの初のテクニカルな連携。これは、FinTech業界にとって大きなできごとだと思う。2015年に大きな話題となったFinTechだが、2016年は積極的に行動する年」と語った。
マネーツリーは、2012年に渋谷駅の裏のコワーキングスペースでわずか5名からスタートしたベンチャー企業だ。2015年10月にみずほキャピタルや三菱UFJキャピタルなどメガバンク系VCより大型出資を受けたことを明らかにしている。
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