崇高な目標を掲げるIngressでも、サービスを継続させ、エージェントを増やしていかなければ効果は得られない。永続的に楽しんでもらうには資金が必要で、Ingressをビジネスに変えなければならない。そこで導入されたビジネスモデルが、ゲーム内課金とパートナーシップの2つだ。
ゲーム内課金モデルは多くのゲームなどで採用されているが、Ingressの課金はゲーム性をあまり付与していない。提供されるアイテムはゲーム進行を有利に導くといった直接的に必要なものでなく、「ポータルに立てる旗」といったコミュニケーション円滑化ツールなどとして使われる。これは、課金に頼らず実際に多く歩いて活動してほしい、というポリシーを反映したものだ。
一方のパートナーシップモデルは、企業のマーケティングやブランディング活動、自治体の地域活性化運動などでの活用を想定。すでに、企業ではローソン、三菱東京UFJ銀行、伊藤園など、自治体では岩手県や神奈川県横須賀市、などで実際に活用されている。
このモデルでは、リアルな店舗やATM、史跡などをポータルに設定し、訪問を促す。Cost Per Visit(CPV)という概念を取り入れ、エージェントが訪れて何らかのアクションをすると1visitとカウントする。こうした仕組みで、店舗などの認知度向上、リアル店舗の商圏拡大、競合店舗の差別化、さらには顧客ロイヤルティを強化できる。興味深い事例だと、伊藤園が災害用の自動販売機をポータル化し、普段からこの特殊な自動販売機の設置場所を認識してもらうと同時に、社会貢献する姿勢をアピールするブランド認知に役立てている。
村井氏は、Ingressが提案する2つの価値として「ある特定のセグメントへの深いエンゲージメント」と「オンラインとオフラインの融合」の2つを挙げた。AR経由でオンラインからオフラインへの集客を図るOnline to Offline(O2O)マーケティングツールとして機能する、「究極のネイティブアド」と述べる。
今後登場するIngressのビジネス活用事例のなかで、あの「ポケモン」を題材にした「Pokémon GO」は見逃せない。リアルな世界でポケモンたちをゲットするという、リアルとバーチャルの融合が体験できそうだ。新時代のマーケティングに触れるため、今のうちにエージェントになり、Ingressに慣れておいてはどうだろう。
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