グランフロント大阪を拠点とするナレッジキャピタルとオーストリアのリンツにある世界的クリエイティブ機関アルスエレクトロニカは、ナレッジキャピタル2階にある「The Lab.みんなで世界一研究所」にて4月10日まで、「FREE SOUND 解き放たれるオト展」を開催中だ。
両組織によるコラボレーション企画の第5弾となる今回は、アーティストによって生み出される新しい「音体験」を紹介する。
毎回2組のアーティストが招かれるが、その1人、クリスティーナ・キュビッシュ氏はベルリンを拠点に活動するサウンドアートのパイオニアとして知られる。音と視覚を組み合わせたインスタレーションやパフォーマンス作品を手がけ、目に見えない音を体験するサウンドスケープの手法を確立している。
展示作品「クラウド」は、身の回りにある電磁場を音に変換し、ワイヤレスヘッドホンで聴くことができるというもの。
赤い電線で作られた雲(クラウド)のような形をしたオブジェには、これまで彼女がさまざまな場所で収集した音源に、大阪で収集した音源を加えたものが保存されており、その周りをワイヤレスヘッドホンを付けて歩くことで、ノイズのような高周波のような何ともいえない不思議な音を聞くことができる。音源は一定時間で変わるので、繰り返し体験を楽しめる。
もう1人のアーティスト、和田永氏は、古い道具を今によみがえらせ、アナログとデジタルの境界を越えた新しい体験を提供する作品作りで知られる。今回展示される「時折織成-落下する記録-」は、2014年の第18回メディア芸術祭で審査委員会推薦作品に選ばれて話題になった作品である。
3m以上の高さがある柱の上に置かれたオープンリールから、ゆっくり落下するテープが奏でる不思議なノイズは、巻き取りが始まる25分後に別の音源へと変化する。いつもはイベントスペースとして使われているアクティブスタジオに特別に展示され、迫力ある作品を間近に体験できる。
キュレーションを担当したアルスエレクトロニカ・フューチャーラボに所属する小川秀明氏は、「両者に共通するのは、ヘッドホンやオープンリールといった音楽のための機材を通常と異なる方法で使っている点だ」としている。いずれも”聴く作品”であり、展示する側にとっても1つのチャレンジになっている。
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