ソニーは1月29日、2016年3月期第3四半期(9~12月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比ほぼ横ばいの2兆5808億円、営業利益は同11%増の2021億円となった。営業利益が2000億円を超える水準となったのは、2007年以来8年ぶりになるという。税引き前利益は同15.2%増の1933億円、四半期純利益は同33.5%増の1201億円。
第1~3四半期(4~12月)累計の業績は、売上高が同0.1%増の6兆2816億円、営業利益は同2.3倍の3871億円、税引き前利益が同2.7倍の4042億円となった。
増収の要因となったのは、「PlayStation 4」のソフトウェアが大幅な増収に結びついたゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野と映像ソフトの収入が好調だった映画部門。前年同期比から201億円増加した営業利益は、その他、映画、モバイルコミュニケーション(MC)、G&NS分野の改善によるものとしている。
唯一、営業損失を計上したデバイス分野は、売上高が同12.6%減の2499億円、営業損益が同538億円の黒字から117億円の赤字となった。ソニーの代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏は「イメージセンサは増益を見込んでいたが、利益水準は前年並みにとどまった。2015年度は開発費用を増やしたが、電池、カメラモジュールの不振が足を引っ張る結果となった」と全体の動きを説明。続いて「スマートフォン市場の成長がハイエンドモデルにおいて減速し、11月以降に主要顧客からの需要が減少したことが大きく影響した」と、損益が大幅に悪化した原因を説明した。
この状況を受け、2015年度に予定していた半導体投資計画は一部減額するとのこと。「2017年度3月期の第1四半期から、需要は回復する見込みだが、スマートフォンの成長鈍化を前提に今後の需要計画を策定していく」(吉田氏)と慎重な姿勢を見せる。生産状況については「2016年9月に月産8万7000枚の計画は、外部委託分を中心に見直す。ただし、IoTや車載向けなどへの展開も考えられ、長期的に見て成長牽引領域である見解は変えない」(吉田氏)とした。
一方、テレビ事業を持つホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野は、売上高が同4.3%減の4020億円、営業利益は同52億円増益の312億円の減収増益となった。テレビ事業は第3四半期で159億円の営業黒字を達成。通期営業利益見通しも130億円の上方修正を行い、380億円と予測。吉田氏は「販売会社と一体になったオペレーション効果が出ている」とその効果を話した。
また、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラともに販売台数の減少が進むイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野は、売上高が同5.0%減の1919億円になったものの、デジタルカメラの製品ミックスの改善により、営業利益は同40億円増の237億円を記録。この分野には、ソニー・オリンパスメディカルソリューションズによる4K外科手術用内視鏡システムなども含まれている。
第3四半期において、販売台数の増加や増収などハード、ソフトともに好調に推移した「PlayStation 4」を展開するソニー・コンピュータエンタ テインメント(SCE)は、4月1日付けで社名をソニー・インタラクティブエンタテインメントに変更することを発表。ソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナルと統合する。
これに対しては「ハードとネットワークサービスの一体的な戦略が必要になってきた。本社を米国カリフォルニアに置くことで、コンテンツクリエーターとのリレーションがしっかりととれると思っている」(吉田氏)とコメントした。
ソニーでは、2016年3月期通期の連結業績予想を、売上高で前年比7兆9000億円、営業利益は3200億円、税引き前当期純利益は3450億円としており、前回予想を据え置いた。
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