躍進するスタートアップ3社が語る、組織作りやプロダクト作りの“ホンネ”

井口裕右 撮影:津島隆雄2015年12月26日 11時00分

 「CNET Japan」を運営する朝日インタラクティブと、「THE BRIDGE」を運営するTHE BRIDGEは12月10日、2015年に大きな成長を遂げたスタートアップ企業を選出し、表彰する「第3回 CNET Japan Startup Award」を開催。イベントでは、表彰式以外にもスタートアップ企業の代表者やそれを支援する企業の責任者などのゲストを招いて講演やパネルディスカッションが実施された。

 「スタートアップに聞く、成長する組織作り」と題したパネルディスカッションでは、昨年のCNET Japan Startup Awardを受賞した企業の代表が集まり、競争が厳しい市場の荒波を突き進みながら成長するための組織作り、起業時の悩みや疑問について語り合った。

 登壇したのは、昨年のCNET Japan Startup Awardで大賞を受賞したメルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏、部門賞を受賞したトランスリミット代表取締役の高場大樹氏とAgIC代表取締役の清水信哉氏の3人。モデレータは、THE BRIDGE編集長の平野武士氏が務めた。

躍進を続けるスタートアップ企業の代表が、組織作りの秘訣を語る
躍進を続けるスタートアップ企業の代表が、組織作りの秘訣を語る

海外展開、既存事業の新展開、新規事業の創出--飛躍の年となった3社

 パネルディスカッションでは、まずウォーミングアップとして2015年を振り返りながら各パネリストが自己紹介。スマートフォン向けフリマサービス「メルカリ」を日本を代表する人気サービスへと成長させた山田氏は、2015年に米国での事業に注力している点を挙げ、「年の半分くらいは米国にいて試行錯誤しながら事業を進めていたが、結果的に日本と米国で(人材の活用や開発を)バランスよく進めるのではなく、米国での事業立ち上げに全社を挙げて取り組む方針にした。いい形が出来上がりつつある」と説明。中途半端に注力すべきポイントを分散させるのではなく、米国での成長に数値的なコミットメントを設定することで、開発リソースやサイト内マーケティングを徹底して米国の事業において推進することで、米国における事業スタートアップの道筋が見えたようだ。

メルカリの山田進太郎氏
メルカリの山田進太郎氏

 続いて、スマートフォン向けアプリゲーム「Brain Wars」で海外から絶大な支持を受けているトランスリミットの高場氏は、今年のトピックスとして1月に第2弾となるタイトル「Brain Dots」をリリースしたことを挙げ、「2タイトル合わせて3000万ダウンロードを突破した」と説明。一方で、創業2年目となる今年を振り返り、「スタッフが増えていく中で、組織作りに課題を感じる年だった」と語り、人員が倍増して社内の雰囲気も変わっていく中で、成長のスピードを落とすことなく一体感のある組織作りを進めるにはどうしたらよいのかという点で葛藤があったことを2015年の課題に挙げた。

 最後に、インクジェットプリンタで電子回路を制作することができる技術を開発したAgICの清水氏は、今年を振り返り「私たちの技術が大きく進歩して事業の方向性が変化した1年だった」とコメント。具体的には、2014年はまだ試作段階だった電子回路の技術(プリンテッド・エレクトロニクス)が量産に対応できるようになり、BtoBでも事業を推進できるようになったとのこと。極薄で曲げられるというプリンテッド・エレクトロニクスの特長を生かすことで、大判の電子回路を床に敷き詰めて人の動きのセンシングを可能にしたり、超薄型電気ヒーターの制作を可能にしたりなど、さまざまな応用が可能になり、事業の可能性が大きく広がったのだという。「広告代理店と協業して、紙のポスターの電子化を模索したりなど、事業の幅は大きく広がっている」(清水氏)。

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