12月10日、CNET Japanは「第3回 CNET Japan Startup Award」を開催した。同アワードは、2015年に注目されたスタートアップ企業を選出し、表彰するもの。CNET JapanおよびTHE BRIDGE編集部による選考により、5社が賞を獲得した。
イベントでは、表彰式以外にもゲストによるさまざまな講演や対談が開催された。本稿では、その中から「海外メディアと国内メディアが語る日本のスタートアップの今」と題したディスカッションをレポートする。登壇したのは、国内外から集まった現場記者4名。モデレーターはTHE BRIDGEの池田将氏が務めた。
まずは参加者4人を紹介しよう。Serkan Toto氏は2008年から2012年まで世界最大のテックブログ「TechCrunch」のライターとして東京を拠点に活躍。現在はゲーム業界のコンサルタント企業CEOを務めている。Richard Solomon氏は自身が発行・編集する「Beacon Reports」や、「Nikkei Asian Review」(日経電子版の英語バージョン)、「Japan Times」において、日本のベンチャー企業について執筆しているスポークスマンだ。
Tim Romero氏は20年前に来日して4社を立ち上げた起業家。「Disrupting Japan」というポッドキャストのホスト役も務めている。CNET Japanからは、国内のウェブサービス企業やモバイルキャリアを取材する藤井涼記者が参加した。
ディスカッションは、国内外のメディアやライターに回答してもらったアンケート結果を参照しながら発言するという形で進められた。
最初のテーマは「日本のスタートアップでもっとも興味深い企業は?」というもので、アンケートの回答で挙がったのはスタイリッシュな電動車椅子を開発した「WHILL」や、ソーシャルマッチングを提供する「エウレカ」、リアルタイム機械学習技術のビジネス利用を進める「Preferred Networks」、インターン探しに特化したビジネスSNSを提供する「Wantedly」など。また「思いつかない」という回答も一部にはあった。
この中に登壇者の注目する企業は入っているだろうか。Toto氏はPreferred Networksを挙げつつ、自らがフィールドとするゲーム市場については「日本は成熟しており、過去1年間ではめぼしいスタートアップは出てきていない」と述べた。
WHILLを3年前に取材したというSolomon氏は、同社以外で注目するスタートアップとして、LINEの元代表取締役社長である森川亮氏が立ち上げた動画SNS「C CHANNEL」を挙げた。Solomon氏は日本のスタートアップ環境を「移行期」と見ており、今までは産業革命後のような古い状態だったが、まさに次の段階へと移行する時期にあると考えているという。
一方、Romero氏はクラウドソーシングの「クラウドワークス」や、ニュースアプリ「SmartNews」などを挙げ、「日本にはおもしろいスタートアップがたくさんある」と話す。同氏によると日米ではスタートアップ環境が異なっており、日本は大手メーカーで活躍した人が独立起業するケースが多いため、豊富な経験を生かして成功しやすいと説明した。
CNET Japan記者の藤井氏が注目するのは、IoTを始めウェブだけで完結しないサービス。特に2015年はモバイルヘルスケアベンチャーの「FiNC(フィンク)」がANAなどから出資を受けたように、ベンチャーと大企業のコラボレーションが進んだ1年だったと振り返る。大企業の中に企業内起業としてスタートアップが生まれるケースも増えていると付け加えた。
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