今の日本は“Jリーグ前夜”--「eスポーツ」の普及が遅れた理由と今後の展望 - (page 3)

佐藤和也 (編集部)2016年01月03日 09時00分
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今の日本のeスポーツは“Jリーグ前夜”

--国内におけるeスポーツシーンはどうなっていくと考えますか。

 これから日本でのeスポーツシーンを作っていく、という形になると思います。僕がよく言っているのは今は“Jリーグ前夜”だということです。サッカーはかつてマイナースポーツで、国立競技場で行う天皇杯の観客が数千人みたいな時代もあったんです。人気サッカー漫画の影響で子どもたちを中心に認知度が上がっても、プロサッカー選手になるとかワールドカップがどういうものかも、なかなかイメージしにくかったと思います。それがJリーグとなってふたを開けると「サッカーはおしゃれでカッコイイ」というイメージがつくようになりました。ワールドカップもずっと出られませんでしたが、Jリーグになって盛り上がったところで出られるようになって、すごい大会であることが認知されるようになりました。

 eスポーツの状況も、Jリーグ前夜と一緒です。今の子どもたちはさまざまなデジタルゲームを遊ぶと思いますが、世界で大きな大会が開かれていてプロとして活躍するということ、そして名誉や一獲千金のチャンスがあるということをまだ知りません。

 LoLも国内リーグも開催されるようになって、そこで選手たちが切磋琢磨できる環境がありますが、まだ世界の壁は厚く思うような成績を残せていない状況です。でもしばらくして世界で優秀な成績を残せるようになってくると、彼らが注目されるようになります。そして挑戦する姿がマスコミなどに伝えられるようになってきたときに、日本の状況は変わります。

 実際にeスポーツイベント、そしてプレイヤーはかっこいいんです。海外ではエンターテイメントとしての一大イベントとなっていますから、そのなかで日本人が出ていい成績を残す、大勢の観客が彼らを認めている光景が日本でも伝えられるようになると変わります。それがちょっとずつきている感じがあります。

--国内での盛り上げや周知ということに関してはいかがでしょうか。

 もちろんさまざまな方法や展開でみなさんに知っていただきたいと思いますが、一過性の人気ではだめだと思います。実際のスポーツでもシンデレラガールのように注目を集めながら、世界の舞台では負け続けてしまって人気がしぼんでしまったこともあります。そうなると再度盛り上げていくのにも、より労力がかかってしまいます。あせらずに、実力も伴って人気も出るという状況を整える必要があります。

--将来的には第三者がイベント興業として展開する必要もあるのではないかと感じています。

 いわゆる入場料収入を原資にして展開するというところまでいくのも必要ですが、まずは来てもらうための努力が必要です。努力して見に来てもらって楽しいということをわかってもらってからが勝負でしょうし、そういった地道な努力がないとダメです。ただ花火を上げてきてもらっても楽しさを感じなかったら、お客様がついてきません。面白いからもう一回行ってみたいと思ってもらえる仕組みをどう作っていくかですね。

 eスポーツシーンを応援してくれるユーザーや企業が頑張っている状況のうちに、一般の方からお金がまわってくるような放映権料やグッズの売り上げを充実せて、ほかのスポーツと同じようにマーケティング充実させたり一人立ちすることもそうですし、それを東京だけではなく、全国を巻き込むような形にもっていくのも大事でしょう。

 今この世界に興味を持たれている方は一獲千金があると思われているかもしれませんが、まだまだこれからです。Jリーグ前夜というお話はしましたが、まだ立ち上がる何年も前の状況です。Jリーグも1日でいきなりできたわけではなく、何年も準備をかけて始まったわけですから。その準備がようやく始まったぐらいの立ち位置です。海外シーンが派手なので明るく見えますが、日本はもう少し時間はかかります。

--日本でeスポーツがちゃんと浸透する状況になるには、どのくらい時間はかかるでしょうか。

 さすがに10年もかかるような話ではありません。私は2、3年で状況は変わると思っています。海外もここ3年間で激変してここまで大きくなったんです。それを少し遅れて日本が受け止めた状況なので、海外の3年前だと思えばいいのです。この3年で世界に追いつくようなスピード感で物事を進めていけばいいと思います。

--その間にゲームやeスポーツに対するイメージや見られ方も変化するでしょうか。

 サッカー選手のように派手でなくてもいいと思いますが、頭脳勝負の世界でも囲碁将棋のプロは一定の地位が確立されていますし、すごいと言われます。将棋は動画サイトの影響で認知度やイメージも変わりましたから、認識を変えられる可能性は十分にあります。

 真剣にゲームを取り組んでいる人たちはすごく物事を考えられる人たちです。物事をまとめる能力もたけてますし、実社会でも十分やっていけているんですね。ゲームはそれこそ玩具から派生した遊びのイメージがいまだ払しょくできていないところでバッシングもありますけれども、結局は“なんとなく”のイメージの問題です。ゲームをプレイする人たちが夢のある世界にするために、地に足がついた流れをしっかり作り、実が伴うようにしていく事が大事だと考えています。

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