12月15日~12月21日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
年末で全体的にニュースも乏しくなってきているが、比較的大きなニュースとして、Apple Payの中国進出のニュースがある。
Apple Payは、iPhone 6以降のiPhoneやTouch ID搭載のiPad、そしてApple Watchで利用できるモバイル決済サービスだ。日本で主流のプリペイド型の電子マネーとは異なり、クレジットカード決済を行うため、チャージなどは特に必要ない。
2014年10月にサービスを開始した米国では、クレジットカードに加えてデビットカードをApple Payに登録でき、対応店舗での決済を、指紋認証で行える仕組みだ。Appleに続いてGoogleやSamsungなども同様のサービスに対応しており、クレジットカード会社の不正利用対策の軽減から、カード会社がデバイスメーカーに決済あたりの手数料を支払う形式となっている。
Apple Payのサービスを開始するには、加盟店のNFCを活用した決済端末の普及、カード発行銀行によるトークン発行業務の対応と手数料徴収の同意などが必要だ。また、消費者のデバイスがApple Payに対応している必要があり、やや複雑なしくみとなっている。
Appleは2015年に、英国、カナダ、オーストラリアでのサービスを開始している。ただしカナダとオーストラリアについては、決済銀行とカード発行銀行を兼ねるアメリカンエクスプレスブランドとの提携により、交渉相手を減らす形でサービス開始にこぎ着けている。
また、決済端末の普及に向けて、Appleはモバイル決済大手で2015年にIPOも果たしたSquareと連携し、個人や小規模商店に対するApple Pay対応の決済端末の普及も後押ししている。実際、筆者が米国でApple Payを利用する上で感じているのは加盟店の少なさで、普及に向けては小売店の対応がより一層重要になる。
こうしたApple Payの拡大で、最もスムーズに、かつ世界を取り巻くムーブメントを起こす起爆剤として期待できるのが、Union Pay(中国銀聯)との提携だ。既に噂されており、また冷静に考えれば「こことの提携しかない」と指摘されるほど、中国の巨大決済市場を握るブランドだ。
Appleは12月17日にUnion Payとの提携を発表し、2016年初旬にはサービスを開始するとしている。2016年初旬といっても、中華圏で最も購買が盛り上がる春節に間に合わせたいというのが本音だろう。
Union PayとApple Payが提携すると何が起きるか。筆者はその影響は中国国内にとどまらないと考えている。日本でも「爆買い」が流行語になったが、久しぶりに日本に帰ってくると、Union Payのロゴがレジに貼られている店舗が目立つことに気づかされる。もちろんサンフランシスコの店舗でも、Union Payのロゴを見かけない日はない。
つまり、中国人が利用するUnion PayとApple Payの組み合わせは、世界での買い物に影響する可能性があるということだ。米国内でApple Payを使ってると、現地の通貨を用意せず、iPhoneだけで買い物を済ませられる利便性は計り知れない。
ますます、世界中でApple Payをサポートする端末の普及が課題になり、Appleはカード会社や決済端末メーカーなどと組んで、この問題の解決に動く可能性もあるだろう。
「Apple Pay」、中国で2016年初旬に利用可能に–アップル、China UnionPayと提携(12/18)Appleは年末差し迫ったタイミングで、役員人事を発表した。これまで空席となっていた最高執行責任者(COO)に、Jeff Williams氏が就いた。COOはJobs時代にTim Cook氏が座っていた。
Williams氏は、Cook氏から「最高のオペレーティング責任者だ」と太鼓判を押されている人物だ。Appleの世界規模のサプライチェーンマネジメントや機器製造の統括をしており、Foxconnとの関係を構築してきた。Appleの正確かつ確実なハードウェア生産への信頼性を引き続き担っていくことになるだろう。
また、Johny Srouji氏が、ハードウェア技術担当上級副社長として経営幹部に加わった。同氏はiPhone事業への参入やAppleが独自開発に着手したA4プロセッサ、またApple Watchの実現に大きく貢献した人物であり、Appleの技術の要を握る人物として幹部に迎えられている。
Phill Schiller氏は、ワールドワイドマーケティング担当上級副社長を引き続き務めるが、ユーザーがアプリをダウンロードするApp Storeも、その業務範囲に加わっている。加えて、Tor Myhren氏を、マーケティングコミュニケーション担当副社長として迎え入れた。広告会社Grey Groupの最高クリエイティブ責任者だった人物で、Appleの広告を総括する見込みだ。
アップル、J・ウィリアムズ氏をCOOに任命–App StoreはP・シラー氏が統括(12/18)Appleは中国市場で大きな成果を上げ、2015年9月期の決算を、これまでに最も多くのiPhoneを販売した1年へと成長させた。ただ、中国による爆発的な売上増加の「次」を用意する必要がある。その照準は、人口から考えてインドになるだろう。
Appleは、インド国内で初のApple Storeを計画している。ムンバイに5店舗、バンガロールに1店舗と、IT産業が盛んな地域を選んでいる点も特徴的だ。インドではまさにスマートフォン普及の拡大が続いており、iPhoneの出荷台数についても、直近の1年で170万台と54%増加している。
この戦略をさらに後押しすべく、iPhone 5sを2万4999ルピーへ値下げしたそうだ。この金額は、これまでのほぼ半額となり、米ドルでは370ドル相当だ。それでもインド市場では価格が高すぎる部類に入っている。Appleの戦略としては、スマートフォンのプレミアムブランドというポジションを崩すべきではないため、適度な価格の高さは許容すべきだろう。
これまでも本連載で伝えてきた通り、2016年3月に4インチサイズのiPhoneをリリースする事が予測されており、おそらくiPhone 6sよりも安い価格展開になるだろう。質感の高さを保ちながら価格を抑えたデバイスは、インド市場で受け入れられるかどうか、注目していきたい。
アップル、インドで「iPhone 5s」を大幅値下げか(12/15)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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