経済産業省と総務省が設立した「IoT推進コンソーシアム」下の組織の1つである、ビジネスモデルの創出や規制改革などの検討をする「先進的モデル事業推進ワーキンググループ(IoT推進ラボ)」は、10月に明かした取り組みを本格的に始める。
企業間のマッチングイベントを2016年1月下旬に都内で開催する。第1回のテーマは「観光」と「製造(スマート工場)」。近く、参加希望者からのメールでの応募受付を開始する。応募と参加は無料、応募締め切りは12月28日を予定している。
イベントの目的は、(1)国が実施する実証事業、フィージビリティスタディ(事業化調査)に接続する事業の創出、(2)その社会実装を促進すること――の2点。参加資格は、IoT推進ラボの会員であり、実証事業に関連する事業(アイデア)、保有するサービスや製品、技術などのシーズまたはニーズを保持している企業、団体、自治体、個人。
観光と製造をテーマに据えたのは、IoT推進ラボの会員の中で最も関心が高く、またインバウンドが注目されている昨今、さまざま業界の企業、自治体で関心が高いからだという。
経済産業省では、IoTを活用して、訪日外国人が入国から出国までの国内滞在中の満足度を向上し、消費を促す環境整備に取り組む実証事業を2016年に実施することを計画している。具体的には、訪日外国人の移動と交通、食事、宿泊、決済などの情報をID情報と連携させるプラットフォームを構築する予定だ。
製造分野においては、ドイツ発の次なる産業革命「インダストリー4.0」や米国発の「インダストリアルインターネット」などの製造業の付加価値を大きく変化させる動きを受けて、国内製造業の生産現場の生産性向上やコスト削減のみならず、製品やサービスの付加価値を増加させるような新たな仕組みを構築するために必要な環境やツールの整備と、それらの効果を検証するための実証事業を2016年に実施する予定。具体的には、機械間、工程間、工場間、企業間を情報でつなげる仕組みを構築するという。
優れたデータサイエンティストの発掘と育成をするために、企業などから提供されたビッグデータとそれを活用したデータ分析課題をもとにした、アルゴリズムの開発コンテストをオンラインで実施する。テーマは「観光」。予測精度(定量評価)とモデリングのアイデア(定性評価)の観点から評価をして、優秀な人を表彰する。応募と参加は無料。
参加者は、十数都市の総観光客数、特定観光地の観光客数、北陸新幹線開通都市の観光客数などを予測する。同コンテストでの活用を目的として提供されたデータに加え、外部データ(オープンデータ)を自由に取り入れて分析できる。
応募期間は、12月下旬から2016年1月中旬までを予定。投稿された数値の精度(順位)を応募プラットフォームでリアルタイムに公表し、応募期間中であれば、応募者1人で何度でも投稿、更新できるようにする。
10月の時点で「ドラフト会議」の仮称が付けられていた取り組みが「先進プロジェクト選考会議」として立ち上がる。IoT推進ラボでは12月中旬から1月中旬にかけて、IoTなどを活用したプロジェクトを公募。その後の審査を経て、2月末以降にプロジェクトを採択し、資金、メンター、規制改革の観点から支援をする予定だ。
マッチングイベントとビッグデータ分析コンテスト、先進プロジェクト選考会議は、第1回実施以後、3~4カ月ごとに実施していく計画だという。
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