「Mac App Store」に、小さいながらも次第に広がっている傾向がある。開発者らが、ソフトウェアを同ストアから引き上げて、顧客に直接販売し始めているのだ。
最新の例は「Sketch」だ。オランダのSketchは現地時間12月1日、Mac App Storeから撤退するとの発表をブログに掲載した。2014年10月に同じように「Coda」を引き上げたPanicは2015年に入り、Mac App Store時代の79ドルから99ドルへと値上げして以降も、販路変更による販売数への大きな影響はなかったと述べた。むしろ、直接販売に移行したことで、ライセンス販売数は減少したが売り上げは44%増加したという。
これは、Mac App Storeの外で売れたアプリは、Appleに販売額の30%を一律で支払う必要がなく、開発者に入る販売数あたりの売り上げが増加するためだ。
しかし、Sketchによると、開発者が販路を変える理由は、売り上げの増加ではないという。Mac App Storeは総じて問題を抱えており、Appleはそれに対処していないというのだ。
「SketchがMac App Storeを離れる理由はいくつもある。その多くは、それだけでは大きな懸念にはならないだろう。しかし、あらゆる不満がそうであるように、複数の問題が重なると、とどまることを正当化するのが難しくなる。アプリの審査は相変わらず少なくとも1週間はかかる。サンドボックス化など、Mac App Storeのガイドラインによる技術面の制約があり、われわれがSketchに搭載したい機能の一部が制限される。また、アップグレードの価格設定はまだ利用できないままだ」(Sketch)
Sketchはブログ上で、今回の決定は最近Mac App Storeに影響を及ぼした認証期限切れ問題に突き動かされたものではないと述べている。
Mac App StoreはAppleが適切だと思うように運営すべきものだが、どこかの時点で、SketchやPanicなどの開発者からの懸念に対処することが必要になるだろう。さもないと、Appleは、一元化されたソフトウェア市場を所有し管理することにより握っている支配権を失う危険があり、売り上げを損なってユーザーからの信用も落とす可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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