「液晶テレビは上期に大きな赤字を計上したが、7~9月で若干黒字転換し、下期は黒字にもっていけると見ている」――シャープ執行役員コンシューマーエレクトロニクスカンパニーカンパニーEVP兼デジタル情報家電事業本部長の小谷健一氏は、テレビ事業の黒字化を名言した。
これは11月19日に、栃木県矢板市にあるシャープの栃木工場見学会で明らかにしたもの。第1四半期(2015年4~6月)に173億円の営業損失を出したデジタル情報家電は、第2四半期(7~9月)で23億円の黒字へと転換。2015年下期(2015年10月~2016年3月)も20億円の営業黒字を見込む。
黒字転換への足がかりとなったのは、「AQUOS 4K NEXT」などの高付加価値商品の販売拡大だ。小谷氏は「4Kテレビで出遅れた点は否めない事実。それを6月以降急速に挽回していった。現時点では、この市場でトップシェアを獲得している」と4Kテレビの現状を話す。
シャープでは6月に「AQUOS US30/U30」を発売。以降急速に4Kテレビの実売金額シェアがアップしたという。「今回のモデルでは、スイーベル機構を加えたり、低反射パネルを採用したりと、お客様が困っているポイントを改善できた。そういう細かな部分を評価いただくと同時に、当然高画質という部分は大きく訴求してきた。基本性能を抑えながら、お客様の要望する内容を商品の中に投入していった結果」と自信を見せる。
同日公開された栃木工場は、技術センターと工場が同敷地内にあるAQUOSの開発、製造拠点。シャープでは、中国、マレーシアにも液晶テレビの生産拠点を持つが、栃木工場は、コスト力のある高品位な生産工程を確立し、各生産拠点に展開するマザー工場に位置づける。「設計開発と生産技術が一体にならないと本当の高品質な商品は作れない。開発と生産が切磋琢磨しながらきっちりとした商品を作っていきたい。栃木工場は絶対に必要なもの」(小谷氏)と話す。
ただ、シャープの代表取締役社長である高橋興三氏は「液晶事業の分社化も視野にいれる」と発言しており、液晶事業の今後については不透明な一面も持つ。そのことに話が及ぶと小谷氏は「液晶パネル事業は数社と検討していると社長である高橋(興三氏)が話しているが、テレビ事業が影響するかどうかはコメントを差し控える。しかしテレビ事業については今後もきっちりとやっていくことに間違いはない」とコメントした。
シャープでは、2015年度に国内の4K売上構成比を金額ベースで約30%を達成し、2016年度は40%を目指すとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」