2015年はQualcommにとって厳しい1年となっている。同社は「Snapdragon 810」プロセッサが一部のデバイスで発熱するとされた問題への対応に追われたうえに、サムスンが「Galaxy」の2015年版フラッグシップモデルに自社の「Exynos」プロセッサの採用を決定するなど、勢いに陰りが出ている。
そのQualcommが米国時間11月10日、「Snapdragon 820」プロセッサを正式に公開した。
2016年に入るとスマートフォンやタブレットの頭脳となるこの新しいプロセッサは、仕様を見る限り優れた製品のようだ。
このプロセッサに搭載されるQualcomm製CPU「Kryo」は、Snapdragon 810に搭載のCPUと比べて2倍の演算能力を持つとされる。また、GPUの「Adreno 530」も40%性能が向上しているという。
内蔵のLTEモデムはカテゴリ12のネットワーク速度をサポートするため、理論上はダウンロード速度が600Mbps、アップロード速度が150Mbpsとなる。Wi-Fiの性能も向上し、802.11adと802.11ac 2x2 MU MIMOの両規格に対応するため、これらの規格をサポートするルータを利用すれば速度が2~3倍高まることが期待できる。また、QualcommはSnapdragon 820を、LTE-Unlicensed(LTE-U)技術に対応した初の商用プロセッサだとうたっている。LTE-Uは、免許を受けた(つまり、通信事業者がサポートする)周波数帯と免許不要の周波数帯の両方でモバイルブロードバンド通信を可能にする技術だ。
さらに同社は、モバイルデバイスの充電速度を速めることにも取り組んでいる。Snapdragon 820には「Quick Charge 3.0」と呼ばれる技術が追加され、多くのハイエンドデバイスに搭載されている現行の「Quick Charge 2.0」と比べて38%効率が高くなるとQualcommでは説明している。
14ナノメートルプロセスで製造されたSnapdragon 820は、あらゆる機能が向上しているようだ。ただし、Qualcommが2015年に喫したつまずきを考えると、どのデバイスメーカーがこのプロセッサを採用するのかが、次の大きな焦点と言える。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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