2010年から不動産賃貸サービス「door賃貸」を運営しているリブセンスが、不動産関連事業を強化している。2015年8月に公開した中古不動産流通プラットフォーム「IESHIL(イエシル)」の機能を拡充し、2015年内にも不動産仲介サービスを始める計画だ。
現在ベータ版のIESHILは、約3000万件の売買・賃貸履歴などのビッグデータを活用した不動産物件の“リアルタイム査定”がウリ。物件の市場価値や価格推移を、部屋単位で掲示する。対象物件は東京23区内のマンションで、10月20日時点で約4万件をカバーしている。
利便性や治安、地盤など8項目の情報を軸に、物件を多角的に評価するレイティング機能も開発中だ。自治体や官公庁が公表したデータを客観的に見やすくまとめ、ユーザーに提供するという。
インターネットでの不動産仲介サービスでは、中古マンション仲介サービス「Housmart(ハウスマート)」のHousmartや、8月にアセンシャスから譲り受けた不動産仲介サービス「nomad(ノマド)」を運営するイタンジなどが先行している。また、7月にはヤフーとソニー不動産が資本、業務提携を結んだことを発表。不動産所有者が自身のマンションを自由に売り出せる不動産売買プラットフォームを共同開発し、2015年内に公開するとしている。
「既存の事業を超えるくらいの規模にはしたい」と意気込むのは、リブセンス新規事業本部でIESHILを担当する芳賀一生氏だ。サービス開始から2カ月弱、問い合わせも増えており、「消費者から求められていることがわかった」と語る。IESHILのビジョンや業界の課題を同氏に聞いた。
--サービス開始から2カ月弱、これまでの反響や手応えは。
芳賀氏:最も想定外だったのは、通常1%出れば十分な会員登録のCVRが、2.5%を記録していること。サイトを訪れた方に、会員になってサービスを利用したいと高い確率で思っていただけている状況です。
現在は広告を積極的には出さず、リブセンスらしくSEOに重きを置いて集客をしています。オーガニック検索からの流入が最も多く、一日のセッション数は平均4000件、多いときには1万件を超えています。このまま順調にいけば、単月で20~30万PVは見えています。数字としてはよい感じです。
一方で課題は、物件の価格を見られるサイトでありながら、予定しているレイティング機能をまだ開放できておらず、ご覧いただける情報が不足していることです。
すでに「仲介をしてほしい」という問い合わせをいただいています。宅地建物取引業の免許は取得していますが、仲介サービスもまだ準備段階。現在は優先案内の登録を受け付けていて、待っていただいている状態です。サービス設計を急がなければいけません。新機能も仲介サービスも、年内をめどに始めたいです。
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