マルウェア「XcodeGhost」の新たな変種が出回り、今度は中国だけでなく米国の企業を攻撃していることがわかった。
セキュリティ研究者が、正規のApple「iOS」アプリケーションに感染する能力を持ったマルウェアを発見したのは2015年9月のことだった。この悪質なコードはXcodeGhostと呼ばれるもので、中国市場向けに提供されている少なくとも4000種類の正規のiOSアプリに仕込まれていた。
このマルウェアは、Appleのエコシステム向けソフトウェアの開発に使用される開発者向けツールキット「Xcode」を介して、アプリを乗っ取ることができる。Appleのドメインではなく、サードパーティーのサイトにホスティングされているXcodeパッケージにこの悪質なコードを追加することで、サイバー犯罪者はAppleの厳しいセキュリティプロトコルをすり抜けていた。
Appleは即座にこの脅威に対応し、悪質なコードを含むアプリをiOSの「App Store」から削除するとともに、セキュリティ機能を改善した。
だが、このマルウェアは依然として猛威を振るっているようだ。
米国時間11月3日に、このマルウェアの新たな変種が発見された。Symantecの研究者によると、この変種は「Xcode 7」の非公式版で見つかったという。このiOS向け開発キットがダウンロードできるのは、本来であればAppleのApp Storeか開発者向けサイトのみのはずだ。しかしXcodeは4Gバイトとサイズが大きいため、一部の開発者はより高速でダウンロードしようと自国にあるサードパーティーのサイトからXcodeを入手しており、サイバー犯罪者にこの状況につけ込む隙を与えている。
サイバーフォレンジック企業のFireEyeは、XcodeGhostによってもたらされる脅威の監視を以前から行っているが、同社によれば、現在このマルウェアは中国市場を超え、米国の大企業に侵入しているという。同社が4週間にわたってこのマルウェアを監視したところ、210の大企業でXcodeGhostに感染したアプリが社内ネットワークで実行されており、このマルウェアのCommand and Control(C&C)サーバへの接続が2万8000回以上にわたって試みられたとのことだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」