大手旅行予約サイト「Hotel.com」の調べで、2015年上半期、海外旅行の日本人人気渡航先として、ハワイのホノルルに次いで第2位になったタイの首都バンコク。
何度も訪れるリピーターも多く、私の身のまわりでも「1度目は定番の観光スポットを回ったけれど、2度目はガイドブックに載っていないような、ローカル風情を感じられる場所を訪れたい」という要望が増えている。
その一方で、タイは道路が混みあって移動時間が読めなかったり、「Googleマップ」も完全に英語対応できていないことなどから、スマートに移動するのは容易ではない。それに、街中に無料Wi-Fiが張り巡らされているわけでもなく、観光客も道中、不安になることがあるだろう。
そうした観光客の悩みに応える便利な移動手段が、8月からバンコクに登場した「フリーWi-Fiバス」。現在19路線で提供されており、一部路線では地元のタイ人も週末のショートトリップとして「水上マーケット」を訪れる際に利用している。
このサービスは、タイの大手広告代理店「PlanB」が提供するもの。年々悪化するバンコクの交通渋滞を、公共交通機関のサービス利用を促すことで緩和するのが目的。同社としては、認知度の向上と生活に便利な情報やサービスを提供する会社であるというイメージを醸成したいようだ。
アジアの新興国を訪れたことがある人なら身に覚えがあるかもしれないが、公衆の無料Wi-Fiはあってもつながりにくいか、つながってもとても遅いことが日常茶飯事。そこで今回は、実際の使用感を確かめるべく、このフリーWi-Fiバスに乗って水上マーケットへ行ってきた。訪れたことがない読者のために、水上マーケットの紹介も兼ねたい。
百貨店「バンコク伊勢丹」の前から路線79番のフリーWi-Fiバスに乗車。
Wi-Fiとは関係ないが、乗車すると車掌が運賃を回収に来る。行先を英語で「フローティングマーケット」と告げ、1人17バーツ(約50円)を支払うと領収書を渡されるので到着までなくさないようにする。
乗車して席を確保したら、いよいよフリーWi-Fiを接続する。車内の至るところに広告が掲出されており、誰もが気軽に使えるようになっている。
サービスを利用できる対象者は、タイ国内で使えるSIMカードの利用者のみ。観光客であれば、空港などでSIMカードを購入すれば利用できる。
初めて使う場合は、まずユーザー登録が必要。画面一番下の青字で書かれたタイ語のテキストリンクをタップして、ユーザー登録画面に進む。
ここまでの使用方法で最大の心配といえば「タイ語が読めない」ことだが、フリーWi-Fiバスの車掌はトレーニングを受けているため、身振り手振りで相談すれば使い方を教えてくれる。今回はたまたま筆者の前の座席に座っていたタイ人の年輩夫婦が「私たちも使いたい!」と、一緒になって手伝ってくれた。
気になる回線速度は、無料にしては快適に使えるスピードだった。ファイル容量の大きな動画などをダウンロードするのは難しいが、たとえば移動中のバスから見える景色を写真に収め、それをSNSにアップロードするのには十分だった。
おかげで通信費用を気にせず、現在地情報を確認したり、SNSやネットサーフィンを楽しんだりすることができた。旅行で一番困るのは迷子になったり、きちんと目的地に向かっているのか不安になることだが、それはかなり軽減された。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」