AppleのMac向け最新OSであるOS X El Capitanの私的レビュー、その2だ。前回は使い始めて4年目を迎えるメインマシン、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルに導入し、そのパフォーマンスの高さについてお伝えした。
今回は、4月に発売された最も軽くて薄い、全く新しいポータブル型MacであるMacBookで、El Capitanが誇るユーザー体験について触れていきたい。使用しているのはCore M 1.1GHzを搭載したMacBookだ。
2015年に登場したMacBookは、ベンチマークでは、2012年ごろのCore i5を搭載するMacBook Airと同等の性能などと言われている。つまり、最新のマシンであるにもかかわらず、3年前と同じ性能である点からなかなか手が出ないユーザーもいるかもしれない。
前回書いた通り、過去のマシンでも非常に高速な動作を取り戻すアップデートであり、実際にYosemiteからEl CapitanにアップデートしたMacBookでも、そのパフォーマンスの高さを感じられた。
もちろん、4Kビデオ編集や壮大な3Dグラフィックスゲームには適さないマシンだ。しかしながら、El Capitanのパフォーマンスが加わったことで、たとえばAdobeの写真編集ソフト、Photoshop CCでも、ちょっとした写真の手直しなどであれば、ストレスなく使えた。
OS X Yosemiteの頃に比べても、体感できるほど軽くなっており、同じマシンがより軽快に動作するような感覚を覚える。おそらくSkylake世代のCPUを搭載し、より性能向上が見込めるMacBookが遠くない将来登場してくるものと考えられるが、現行モデルのMacBookは決して「遅くない」製品だ。
美しい高精細なRetinaディスプレイ、0.35から1.31cmの薄さと、約920gの軽いボディ、そして最大9時間のバッテリというスペックは、Macのラインアップの中でも魅力的な選択肢で在り続けている。
筆者は前稿でメインマシンとして紹介した15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル(2012年)に対して、MacBookをモバイルマシンとして使用してきた。MacBook Proでは、複数のアプリを1つの画面に表示させながら作業することもあったが、MacBookではほとんどのアプリを全画面で実行するようにしていた。
まさにこの文章を書いているiA Writerというエディタアプリや、Safari、メール、Evernote、iTunes、写真、Keynoteなどがそれにあたる。OS X El Capitanでは、これまで搭載されてきたウインドウシステムMission Controlが、全画面アプリを2つ配置する画面分割に対応した。
これは、「集中する」という意味でとても良い機能だ。
例えば、原稿のメモを作る際、iA WriterやEvernoteを右半分に、Safariを左半分に配置して検索とメモの作業に集中する作戦はなかなか便利だった。また、コミュニケーションに関連するTwitterとメールを1画面にまとめておき、必要なとき以外その画面を開かない、というテクニックで仕事に集中する戦略も良い。
2つのアプリで行う作業に集中する際や、他の作業に集中したいため不要なアプリを束ねておく際に、画面分割は有用だと言える。小さな画面の12インチMacBookでも、Safari+Evernoteの組み合わせは利用しやすく、大きな画面サイズのMacならより快適な作業を行えるはずだ。
前述の通り、筆者は普段のメモにクラウドメモアプリであるEvernoteを利用している。すでに数万件ノートが保存されており、乗り換えることはあまり考えていないのだが、OS X El Capitan搭載のノートの進化は、Evernoteを使っていないユーザーにとって、非常に魅力的なモノになった。
iOS 9版とともに進化したノートで、最も大きな進化のポイントは手書きメモに対応した点だが、それ以上に汎用性が高そうなのが、チェックリスト、写真、リンクなどを張り込める点だ。
感覚としては、これまでテキストしか扱えなかったエディタが、リッチテキストフォーマットに対応したようなものだ。しかも、写真などの添付ファイルを抜き出して一覧できるビューワーまで備えている。Safariなどからリンクをメモに記録することもでき、共有メニューから手軽にメモを起こせる点も便利だ。
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