水は透明なのに、製氷皿や型を使って冷凍庫で氷を作ると透明ではなく白く曇った氷ができあがることを不思議に感じたことはないだろうか。
クリス氏とパット氏はリサーチの結果、市販の製氷皿や型では水が外側から内側に向かって凍っていくため、気泡や不純物が中に閉じ込められてしまうのだと理解した。
ならば気泡や不純物を排除するために凍結が上から下の方向で進行するような工夫を施す必要がある。また、使う素材は人体に害がなく、出来上がった氷が取り出しやすく、耐久性の高いものであることが条件だ。
2人はさまざまなアイデアを出し合い、いくつもの図面を描いては試作品を作り、実際にテストするという工程を繰り返した末、球体を作るシリコン製の型とステンレススチールのカップで構成される以下のデザインにたどり着く。
シリコン製の型を組み立ててステンレススチールのカップの上にセットし、水道水を注ぎ、冷凍庫で24時間凍らせると透明な氷が完成する。
できあがった氷を取り出しやすくするために、型は3つの部分に分解できるようになっている。下のカップは型を支えるだけでなく、凍結を上から下に進行させるために不可欠な構成要素だ。
これならば、水道水からでも直径60ミリの透明な球体の氷を家庭の冷凍庫で作ることができる。
2人は完成したこの製品を「The Ice Baller」と名付けた。2013年6月にKickstarterでキャンペーンを立ち上げ、先着250人には1セット55ドル(約6600円)、それ以降は1個70ドル(約8400円)で予約注文を受け付けた。
キャンペーンでは、透明な球体の氷を飲物に使うことにどんな効果があるのかをクリス氏の東京での体験をもとに説明し、市販の型を使った場合に比べてThe Ice Ballerで作った氷は遥かに透明であり、費用効果も優れていることを視覚的にアピールした。
2万ドル(約240万円)を確保することが目標だったが、その額を大きく上回る17万3510ドル(約2082万円)の資金を1778人から獲得してキャンペーンは無事に成功。The Ice Ballerは量産化へと進み、スケジュール通りに顧客に製品を届けることができた。その後、The Ice BallerはWintersmithsのECサイトで1セット85ドル(約1万200円)で一般に販売されるようになった。
2014年6月には、前述したLiquor.comと「Gear Patrol」の2つのサイトで「父の日に贈るのにお勧めのギフト」の1つに選出されている。
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