エンターテインメントの分野では、スポーツの新たな楽しみ方や競技の舞台である競技場の変革に挑むスタートアップが登壇した。
2009年に創業したNatural Grassは、人工の根域(土壌)に天然芝を養生するエールファイバーテクノロジーと呼ばれるハイブリッド養生技術を開発。従来の人工芝のサーフェス(グラウンド)と比較して耐久性に優れ、選手の安全を確保するための衝撃吸収性、さまざまな用途に応用できるフレキシビリティを備えているという。来年フランスで開催されるサッカーの欧州選手権(UEFA EURO 2016)では、マルセイユ、ボルドー、サンテチエンヌ、トゥールーズ、リオンなどほとんどの競技場で同社の技術が採用されたとのこと。
同社代表のBertrand Picard氏は、「建設に莫大なコストを必要とする競技場は、その経済性を確保するためにサッカー、ラグビー、コンサートなどさまざまなイベントを開催するが、サーフェスを使い続ければ競技に支障が出るほど芝が傷んでしまう。このような課題に対して、私たちはどのような状況においても常に最高の芝を提供できる技術を開発した。これによって、競技場は(芝の損傷を気にせず)稼働率を更に高めることができる」と開発の狙いを語った。
一方、2013年創業のVOGOは、スポーツ観戦専用のモバイルサービス「VOGO SPORT」を紹介。このサービスでは、競技が行われているフィールドのコーナー4か所にカメラを設置。競技を会場で観戦している観客は、モバイルアプリとWi-Fiネットワークを使ってこのカメラを自由に選び、ライブで観戦しながらスマートフォンを使ってライブでは観ることのできない角度からも競技を楽しむことができる。また、競技中に見逃した場面を遡って視聴できるタイムシフティング機能や、もう一度観たいシーンをスロー再生したりズームアップしたりできるリプレイ機能も提供される。既にヨーロッパ柔道選手権大会などで実用化されているのだそうだ。
サービスを紹介した同社代表のChristoph Carniel氏は、「会場にスポーツを観戦に行き、“やっぱりテレビで観た方が良かった”と思う人は多いのではないか。VOGO SPORTを使えば、観客は会場だからこそ感じるスポーツの感動や臨場感とテレビでの視聴体験を同時に味わうことができる」と語った。
このほかピッチイベントでは、放送局向けのソフトウェア開発を手掛けるAnyware Video、組み込みソフトウェア向けのセキュリティ技術を開発するSecure IC、ペタバイト規模のクラウドストレージをDaily Motionなど大規模なデータを扱っている企業に提供しているSCALITY、ネット広告ソリューションをグローバルで展開するCriteoなど、BtoBビジネスを展開するスタートアップも多数登壇した。
15年間の研究を経て2012年に創業したBeAMは、工業用レーザーメタル堆積3Dプリンタを開発。主に航空機のターボジェットエンジン、ターボプロップエンジンの部品製造や破損したエンジン部品の修理などを行っているという。登壇した同社代表のEmmanuel Laubriat氏は、「15年間の研究を経て、3Dプリンタは1分間に3万回転するジェットエンジンのタービンを修理できるところまでに至った。私たちはこの技術をパートナーシップによって企業や研究機関に提供したいと考えており、3年~4年先を見据えた製造プロセスを日本市場に普及させていきたい」と同社の展開について語った。
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