エイベックスが音楽著作権管理事業に本格参入--その狙いと課題

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 エイベックス・グループ・ホールディングスによる、イーライセンス、ジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)子会社化にともなう音楽著作権管理事業への本格参入に向けた動きは、著作権等管理事業法制定後の「開かれた市場」においても依然として巨人であり続ける、日本音楽著作権協会(JASRAC)への明確な挑戦と捉えることができる。著作権管理事業はもとより、停滞が伝えられる音楽市場全体に対しても何らかの影響が予想される。

 もっとも、エイベックスによるJASRACへの挑戦はこれが初めてではない。2009年、公正取引委員会より排除措置命令が出されたことで広く知られることとなった、放送局とJASRACによる放送における音楽使用の包括契約に一石を投じたのは、イーライセンスに放送使用を目的として複数の楽曲管理を任せたエイベックスであった。

 その後、審決による排除措置命令取り消しから最高裁による再審指示に至るまで、紆余曲折を経た同案件だが、少なくともエイベックスが放送局の楽曲利用市場において一定の存在感を示すほどの変化には至っていない。ならば、今回のイーライセンス、JRCの子会社化はある種のリベンジマッチ。今度は真正面からの正攻法でJASRACに立ち向かい、特に放送使用の分野でシェア確保を目指すことが大きな目的のひとつと見ていいだろう。

 レコード売上市場の厳しい状況が続く中で、放送使用から得られる著作権使用料は「魅力的な安定収入」といえる。実際、JASRACが6月に発表した「2015年JASRAC賞」のランキングを見ても、4位の「UFO」、5位の「東京ブギウギ」、8位の「西部警察メインテーマ」はいずれもCM採用楽曲であり、著作権収入だけで見るならばもはやレコード売上を凌駕する存在だ。

 1990年代の小室哲哉氏、2000年代の浜崎あゆみさんに代表される大ヒットメーカーを擁し、巨額のレコード売上を中心に右肩あがりの成長を続けてきたエイベックスにとって、レコードが売れない現状の音楽市場は決して順風とは言えまい。そこで目をつけたのが音楽著作権管理事業、さらには放送における楽曲使用の安定性ということであれば、これまでのレコード会社にはなかった新たな発想として一定の評価を受ける判断となりえる。

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