ミャンマーに住む10代女子の「レインボークレープケーキ」がFacebookで大人気 - (page 2)

個人電話不在社会が一気にモバイルインターネット時代へ

 ミャンマーは長らく、インターネット後進国だった。国際電気通信連合の発表によると、2012年のインターネット普及率は1.07%。しかし2013年には1.6%、2014年は2.1%となっている。2015年は、さらに大きく伸びていることが予測できる。

 携帯電話契約者数の変化はさらに劇的だ。約373万人だった2012年から2013年には倍近い約683万人へ、そして2014年には一気に約2658万人にまで達している。これは2014年に、海外携帯電話会社の参入を認めたためだ。

 軍政時代、ミャンマーでは固定電話を引くのに多大な時間と費用がかかり、電話普及率は1%程度だったと言われている。人びとは露天の「電話屋」などを利用していた。つまり、ほとんどの国民が個人で固定電話を所有する経験をもつことなく、一気に携帯電話へと走ったことになる。

 しかも、SIMカードの低価格化と時を同じくして、安価なスマートフォンも流れ込んだため、初めての携帯電話がスマートフォンという人も少なくない。こういった状況は発展途上国ではままあることだが、ミャンマーは経済鎖国に近い状態から一気に開放政策へ進んだため、この傾向が際立っている。

 インターネットについても、固定電話とPCの組み合わせによる時代を飛ばして、一気にモバイルインターネット国となった。中でもFacebookの人気が高いのは、もともとミャンマーがクチコミを重視する社会だったこともあるだろう。検閲が廃止されたとはいえ、現地マスコミはまだまだ政府の監視下にあるに近い状態だ。Facebookで友人間を伝播するニュースへの、現地の人たちの関心度は高い。


オーナーのエインプープーさん。自宅リビングに置いたショーケース前で

 大盛況のFacebookショッピングだが、まだ小規模運営がほとんどだ。エインプープーさんにしても、店舗展開やホームページを通じての大々的なウェブ販売などは、現時点では考えていないという。

 大きなネックになっているのが、クレジットカードと配送の問題だ。自国民のクレジットカード使用は2003年以来禁止されており、この5月に解禁されたばかり。外国人は利用可能だったが、回線速度の遅さから信用照会ができず、加盟店であっても、使えないケースが多かった。郵便も紛失が多く信用度が低い上、日本の宅配便のような制度もない。Facebookショップもほとんどがコメント欄やメールなどで注文を受け、配達と引き換えに現金で支払いといったマンパワーに頼るシステムになっている。

 このような状況下に最もフィットしたのが、Facebookを通じた個人商いだったのだろう。とはいえ、経済が依然昇り調子で、通信インフラが劇的に整いつつあるミャンマー。数年のうちに、ショッピングの形態も大きく変わっているかもしれない。

(編集協力:岡徳之)

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