パナソニックのオーディオブランド「Technics」は、2015年でブランド誕生から50周年を迎えた。2010年にはブランドを一度終了させたものの、2014年に超ハイエンドオーディオブランドとして復活。2015年には“音楽ファン”をターゲットに据えた、CDステレオシステムとヘッドホンを発表した。
ハイレゾという新機軸はあるものの、オーディオ業界がシュリンクしつつある中、Technicsは何を目指し、どうオーディオ業界を広げていくのか。Technics復活を率いたパナソニックのテクニクス事業推進室長である小川理子氏に聞いた。
すべてがゼロからのスタートでしたから大変でしたね。ただ、2014(日本での発売は2015)年に導入した、リファレンスシステムの「R1」シリーズとプレミアムシステムの「C700」シリーズは、大変好調でした。いわゆるハイエンドオーディオですから、オーディオマニアと呼ばれる方を中心に興味を持っていただけたと思います。
みなさん、以前のTechnicsブランドのオーディオを使っていたり、もしくは憧れていたりした方でしたので、むしろ、お客さまの方から製品情報を探してこられるような方が多く、新製品の登場を待っていてくださった方もいらっしゃいました。
東京と大阪に「テクニクスリスニングルーム」という試聴室を設け、そちらで体験をしていただいたほか、全国のオーディオショップで試聴会を開催しました。
試聴室も試聴会も人気が高く、かなり多くのお客さまに体験いただくことができました。実際の試聴においては技術者自らが出向いて、お客さまとお話しさせていただくこともありましたし、時間をかけてじっくりできたと思っています。
音を聴いていただいて、お客さまからの質問に答えて、とやっていくのは多くの時間が必要になります。ですが、そうした時間を過ごすことでお客さまにも納得してご購入いただけますし、お客さまの喜びにつながる。その喜びが1年を経て、私たちの手応えにつながっているのだと感じています。
「よくぞ(新製品を)出してくれた」「Technicsのオーディオが欲しくてずっと我慢してきた」と多くのTechnicsファンに言っていただき、本当にありがたかったですね。
こうした思いはパナソニックの社内にも脈々と受け継がれていて、それが復活に結びつきました。当時パナソニックのオーディオ担当者たちは、これからオーディオにどう取り組んでいこうかと悩みに悩んでいたんです。その中でやはり武器になるのは自分たちの技術ですから、これをしっかり打ち出していかなければだめだと。そんな時に、欧州のオーディオ評論家の方から「だったら、Technicsブランドで出せばいい」とアドバイスをいただきました。
その時はほんの数人のメンバーでしたが、技術の人間だけでなく、企画や設計などのメンバーも加わることで話が広がり、もう一度音のブランドを取り戻そうと、新生Technicsが始まりました。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」