筆者は3D Touchを使ったリンクのプレビューや、関連アプリのポップアップ表示を気に入っている。アプリを押して親指の下に追加オプションのメニューが表示されるのは、スマートフォンではなくコンピュータを操作しているように感じられる(最新の「MacBook」では、同様ではあるがセンサの数が少ないトラックパッド技術が採用されており、こちらは「Force Touch」と呼ばれる。同じく「Safari」でのポップアッププレビューを利用できる)。Appleは動作の共通化を図っており、スマートフォンサイズのコンピュータで可能な機能を進化させている。
ポップアッププレビューは実にいいアイデアだ。Safari内のリンクから、実際にクリックしなくてもウェブページがプレビュー表示される。iPhoneでメニューをプルアップ表示できるのは、コンピュータで右クリックしてコンテキストメニューを表示する感覚に近い。使いやすく、驚くほど実用的だ。しかし、使う必要はなく、今までどおり通常のタッチ操作で同じことができる。3D Touchを無効にすることさえできるようになっている。また、ポップアップ表示されるメニューには、筆者が使いたいオプションがすべて揃っているわけではなかった。あまりカスタマイズもできず、3D Touchで何ができて何ができないかは、ほとんどアプリの開発者に委ねられている。3D Touchの長所を活かす素晴らしいアプリも少数ながら登場しているが、広く普及したと感じられるまでにはもうしばらく時間がかかるはずだ。
「iOS」で3D Touchがまだ必須と感じられないのは、おそらくこのためだろう。とはいえ、3D Touchを活用するアプリも少しずつ出始めており、非常に興味深いものになる可能性もある。感圧式の音楽アプリ、アートアプリ、ゲーム、リモコンを想像してみよう。たとえば、3D Touchでドローンを操作すれば、進行方向をゆるやかに切り替えることができるかもしれない。画面を押し込んで、描画で筆使いを変えたり(これには新しい「Notes」アプリがすでに対応)、仮想のピアノ鍵盤を強く押したり(Smuleの「Magic Piano」アプリはすでにこの機能を追加)、レーシングゲームでアナログのアクセルペダルを押したり(これが追加された「AG Racer」は、3D Touchのデモンストレーションとして最適なアプリの1つだ)といった使い方が考えられる。スマートホームのリモート操作なら、仮想の調光スイッチに使えそうだ。
もっといろいろなことがしたい。筆者は、どのアイコンでも、どのメニューでも、3D Touchを試すようになってしまった。すべてのアプリのあらゆる部分が3D Touchに対応してほしい。対応していないと変な感じだ。3D Touchのメニューももっとスマートになってほしいし、スマートな追加機能が欲しい。この機能がないよりある方がいいのは当然だが、キラーアプリの登場は、少なくとも数カ月は先だろう。iOSでも、アニメーションロック画面のように、もっと派手に3D Touchを利用する機能があってもいい。フォルダを強く押し込んで順次表示するとか、押すと拡大するとか、ビューの中を奥や手前に移動するといった操作はどうだろうか。
今すぐアップグレードするだけの価値が3D Touchにあるかどうかは、あまり重要ではない。遅かれ早かれアップグレードすることになる。いずれ3D Touch対応iPhoneを使うようになるだろう。そのうちでもいいのか、今すぐ使いたいのかという話だ。長い目で見れば、3D TouchはiPhoneとiOSの動作をかなり大きく変えることになるだろう。今はまだ、小さな機能だ。
次回に続く。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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