ハードウェア開発支援プログラムが始動--「KDDI ∞ Labo」第9期参加チームを発表 - (page 2)

“グローバル”を意識したサービス開発への挑戦

　発表会では、ネットを中核にしたサービスの開発を目指す「オリジナルプログラム」と、ハードウェアの開発を目指す「ハードウェアプログラム」に分かれて、それぞれの参加チームがプレゼンテーションした。

　韓国出身の丁世蛍氏を中心に、KDDI ∞ Lab初の外国人チームで開発する「HR Databank」は、日本とチュニジアを開発拠点に、世界中の求職者と求人企業をつなげるオンライン求職・求人プラットフォーム。中小規模の成長企業をターゲットとして、精度の高い人材マッチングを開発し、言語能力の評価やビザの申請など、外国人雇用に関する障壁を解消することを目指しているという。

　メンター企業として支援するGoogleの佐川大介氏は、「約3兆円と言われるオンライン採用市場に可能性を感じている点、Googleのビッグデータ分析技術など資産との親和性、チームのポテンシャルなどを踏まえて採用を決めた」とコメント。多国間事業を展開するGoogleの資産を生かしてグローバル展開に必要な開発からマーケティング、プロモーションまでをトータルで支援していきたい考えだ。

　岩谷瑛司氏と池田大介氏が手掛ける「Vコマース」は、動画の中に映っている商品をクリックすると、その商品を直接購入できるというEコマースサービス。岩谷氏は、サービスの狙いについて「映像で商品を紹介することにより、商品の質感や臨場感、モノづくりのストーリーを伝えることができるのではないか」と語り、動画コンテンツを通じて消費者が簡単に安心して商品を購入できる環境を生み出したい考えを示した。

　メンター企業として支援する三菱UFJニコスの平松貴氏は、「動画を活用したEコマースは海外では進んでいるが、日本では未開拓。サポート企業と連携してEコマースに革命を起こしたい」と期待を寄せた。同社では保有するビッグデータ解析によるマーケティング支援や決済スキームの提供などを予定しているという。

　曽根岡侑也氏とフランス出身のPerez Daniel氏で開発する「Applify（アプリファイ）」は、スマートフォン向けアプリを簡単に開発できるサービスで、主に個人経営の店舗や商店街での活用を想定し、地方創生に貢献できるビジネスモデルを目指しているという。ITリテラシーの低いユーザーでもデザインのカスタマイズやニュース配信、クーポン配布、コミュニティの構築などが簡単に活用できるサービスを生み出したいとしている。

　メンター企業として支援する大日本印刷のモタイゴロウ氏は、「中小店舗や商店街のコミュニケーションを活性化させたいというコンセプトに共感した。ビジネスの拡張性も期待できる」とコメント。同社の顧客基盤を生かしたユーザー候補へのリーチや、リテールマーケティングに関する社内有識者による支援をしていくとした。

　坂本蓮氏、小川拓哉氏による学生チームが開発するのは、ウェブ開発者支援サービス「AppMotor（アップモーター）」。ウェブ開発者にとって手間となる開発環境の構築や、サーバの設定などの作業をゼロにすることを目標に、ブラウザだけでプログラミングができる開発者向けサービスの提供を目指す。開発したプログラムはすぐにウェブページに組み込むことができたり、URLを共有するだけで複数のエンジニアによるコラボレーション開発ができたりする点が特徴で、「開発者に高い利便性を提供したい」と坂本氏は意気込む。

　プロジェクトにメンター企業として参画する住友不動産の井上英賢氏は、「サービスには、開発者目線による明確なニーズがある。あらゆる企業でエンジニアが不足している状況に対して、作業の効率化やエンジニアの育成が期待できるのではないか」とコメント。クライアントの紹介や営業ノウハウの提供、イベント会場の提供などで支援していくという。