オリジナルプログラムが世の中の課題を解決してビジネスを創出するサービスの開発が多い一方、初開催となるハードウェアプログラムには、エンターテインメントの再定義によって新たな市場を創出し、世界に挑戦することを目指すチームが集まった。
渡辺諒氏を中心に、「au未来研究所」のハッカソンをきっかけに結成されたチームは、古くから遊ばれている“けん玉”にIoTの要素を組み合わせた「デン玉」の開発に挑む。センサによる回数カウント機能や、無線通信機能、内蔵モータによる球の軌道変化機能などを盛り込み、けん玉を現代版にリニューアルするのが狙いだ。
同じくチームに参加する大谷宜央氏は、「デン玉によってけん玉を全く新しい遊びに進化させたい。センサがけん玉のあらゆる動きを把握してユーザーの技の正確性や難易度を視覚化し、対戦要素を盛り上げることが可能になる」と説明する。
メンターとして参加するKDDIの石川洋平氏は、このデン玉について「世代、地域を超えたコミュニケーションの創出、新しい世界的なムーブメントの創出を目指したい」と語り、量産化技術や通信サービスとの連携技術などを支援していくとした。
子どもに人気のキッズバイク「ストライダー」に取り付けるスマートトイ「STRIDER-TAIL」を紹介したチームリーダーの羽渕彰博氏は、自身がストライダーに乗って登場。STRIDER-TAILはその名の通り、ストライダーのリア部分に取り付けるしっぽ型のおもちゃだ。現時点ではLEDライトが光って回転するだけのものだが、これを今回のプログラムを通じて進化させたいのだという。
「このデモを見せたとき、ビジネスパーソンには“何の意味があるのか?”と言われた一方で、子どもは目を輝かせて大喜びしていて、反応は真っ二つだった。この製品には大企業のビジネスパーソンにはできない価値があるのではないか。“かわいい”を追求すれば、大企業には真似できない製品が生み出せるのでは」と羽渕氏は語る。
メンターであるKDDIの江口氏は、「現時点では市場性、ビジネス面で弱い部分があるが、パートナー企業によるバックアップによって、“かわいい”と思えるコミュニケーションデバイスを共創したい」と意気込みを語った。
最後に登場した「UUSIA(ウーシア)」は、電子ペーパーを活用してユーザーの好みや気分に合わせて飾る絵画を選んで表示させられるプロダクト。世界中のクリエイター向けに創作した絵画をユーザーに販売できるマーケットプレイスの構築とあわせて開発を進めていくという。
楽天リサーチで執行役員を経て独立したというチームリーダーの田根靖之氏は、「絵画をインテリアとして団らんを生み出せるプロダクトにしたい。世の中に電子絵画はあるが、液晶を使ったものばかりで、いわばテレビをつけっぱなしにするようなもの。電子ペーパーを活用して電源ケーブルを必要としないプロダクトが作れないかと考えた」と語った。
“絵画を楽しむ”というライフスタイルに電子ペーパーによってイノベーションを起こすことが狙いだ。このプロジェクトには凸版印刷、大日本印刷が電子ペーパーの技術で支援するほか、KDDI研究所もメンタリングに参画するという。
KDDI ∞ Laboの第9期では、「オリジナルプログラム」は2016年1月上旬まで、「ハードウェアプログラム」は2016年3月上旬までサービスやプロダクトを開発し、完成したベータ版サービスや製品のプロトタイプをデモデイで披露する。特にハードウェアプログラムでは、クラウドファンディングに掲載可能なレベルの完成度の高い試作品の開発を目指すという。
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