インターネット上で高まる女性に対する暴力を食い止めようと、国連が官民双方による取り組みの強化を呼びかけている。
国連の「デジタル開発のためのブロードバンド委員会」は米国時間9月24日に報告書を公開し、ネット上での女性に対する暴力は「パンデミック規模の問題」だと指摘した。「Cyber Violence Against Women And Girls(女性と少女に対するサイバー暴力)」と題するこの報告書では、女性ネットユーザーの73%が過去に何らかのサイバー暴力の危険にさらされたか、あるいは実際に暴力を受けたと回答したことが分かった。調査の対象となった86カ国中、こうした暴力を取り締まったことのある法執行機関はわずか26%にとどまった。
報告書によると、サイバー空間における女性に対する暴力は、インターネットの世界だけでなく、社会全般に影響を与えているという。ストーカー行為や、レイプ、さらには殺害をちらつかせる行為は、インターネットにおける女性の立場に悪影響を及ぼしている。また、女性はこうした暴力行為から自分で自分の身を守らざるを得ないため、訴訟のための費用やオンラインの保護措置、収入の減少など、資金的な影響もある。さらに、女性がネット上で自分の意見を述べることを恐れるようになるため、こうした暴力は言論の自由に影響を及ぼしかねない。
報告書では、主な調査結果がいくつか明らかになった。18~24歳の女性は、ストーカーやセクシュアルハラスメント、さらに身体的危害を受ける可能性が高い。欧州連合(EU)加盟28カ国で、ネット上の暴力を経験したことがある女性は900万人に上り、中には15歳の少女も含まれていた。また、女性ネットユーザーの5人に1人は、オンラインハラスメントが処罰の対象とはなりにくい国に居住している。さらに、多くの国々の女性たちが、社会的な反応を危惧してオンラインハラスメントを通報することをためらっている。一例として、インドではネット上の暴力を通報したことのある女性は35%にすぎないことが同国のデータから分かった。
同報告書は、インターネット上で女性に対する暴力が深刻化している問題に取り組むため、次の3つの提言を示した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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