Wearable Tech Expo 2015

ニュースの変革、“読む”から“身に着ける”へ--Wearable Tech EXPO 2015

 ウェアラブル・テクノロジを軸にしたビッグデータやIoT(Internet of Things)の利活用などをテーマに、国内外の有識者がプレゼンテーションやディスカッションを繰り広げるカンファレンス「Wearable Tech EXPO in Tokyo 2015」が、9月7~8日に開催された。7日の基調講演には、主催者である朝日新聞メディアラボの竹原大祐氏が登壇し、同社の取り組みなどを紹介した。


基調講演に登壇した、朝日新聞メディアラボのプロデューサである竹原大祐氏

IoTによってもたらされた、“繋がる時代”の到来


竹原氏が提示した朝日新聞メディアラボの“超メディア”という考え方

 竹原氏はまず、朝日新聞メディアラボが目指す方向性として「新聞という古くからある伝統的なメディアの価値を再定義し、ワクワクするようなことを世の中と一緒に育てながら、今までの“当たり前”を変えるような取り組みをしていくこと」と語り、その上で、紙、テレビ、インターネットといった媒体にとらわれない“超メディア”という考えを示した。「人が繋がって更なる価値を生み出すこと。これこそがメディアではないか」(竹原氏)。

 こういった考えのもと、朝日新聞メディアラボは、情報を使って朝日新聞社が新たな価値を生み出すことを目的とした“メディア”、朝日新聞のアセットである販売網などを活用して新たなサービスを創出する“親和ビジネス”、そして海外の取材ネットワークを繋いでグローバルなサービスを創出する“国際展開”という3つの事業の柱を展開しているという。しかし竹原氏は、「更に踏み込んだ領域があるのではないか」と語り、世の中の関心の高まりや2020年に210兆円規模(IDC試算)に膨れ上がる市場性を背景に、ウェアラブルを含むIoT分野をこれからの基幹事業に加えることが重要だという認識を示した。

 ウェアラブルデバイスが普及し、あらゆる人やモノがインターネットに繋がるIoTの時代において、メディアはどう変革していくのか。竹原氏は、2014年のWearable Tech EXPOで提唱した、あらゆるモノがメディア化していく「Media of Everything」を改めて紹介した。あらゆるモノがインターネットに繋がることで、そこに情報のやりとりが起きる=メディア化していくという発想だ。

 竹原氏は、Media of Everythingの前提として、IoTにある“あらゆるモノが繋がる”という考え方が、いかに既存の価値観に変革をもたらすのかを説明する。つまり、IoTは既存のモノに対する視点を変え、これまでになかった新たな可能性を気付かせるものだという考えだ。「X軸とY軸で完成していると当たり前に思っていたものに、もうひとつのZ軸という新たな次元が加わると、これまでになかった新しい価値が生まれる。平面に見えた空間が立体的であるということを知った瞬間に、多くの可能性が発見できるのだ。このZ軸こそが、IoTなのではないか。時計も、メガネも、インターネットに繋がるというZ軸がもたらされたことで明らかに大きな変革が生まれ、新たな次元に進化した」(竹原氏)。


IoTの時代では、旧来からのビジネスの考え方が通用しなくなる

 また竹原氏は、IoT時代においては、「一人勝ちの大量生産」から「共創、共栄、協働」へ、「機能、性能重視」から「デザイン指向、満足度」へ、「技術優位性」から「価値で顧客と対話する時代」へ、「ひとつの商品・サービスが生み出す莫大な売上に依存するビジネスモデル」から「多品種の売上と利益を再投資するビジネスモデル」へとさまざまな価値観が変化し、旧来の企業の価値観が通用しない時代になっていくと説明。そして、こうした時代の製品やサービスに求められるものとして「Evolution」「Creative」「Collaboration」という3つのキーワードを挙げた。

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