Wearable Tech Expo 2015

最後に残る仕事はエンタメ産業か--堀江氏らが語るロボット社会での人間のあり方 - (page 2)

 これに対して、林氏も「人工知能が人間を凌駕して人類が追いやられるという話も聞かれるが、もし人工知能がそういう意識を持ってたとしたら、そもそも人間を選別するメリットがまったくない」と続ける。「今起きている議論というのは、天動説から地動説に変わった瞬間みたいな話で、自分が世界の中心のプレイヤーだと思っていたのが、新しいプレイヤーが増えることを怖れているだけにすぎない。実は人工知能にとって人間がいないほうがいいという理由はほとんどないはず」と冷静に分析した。

 それでは、ロボットが人間の労働力に完全に置き換わった場合に生き残る産業は何か。3人から語られたキーワードは"エンターテイメント"だ。

 「僕が今投資先として注目してるのは、エンターテイメント産業。これからは遊んでいる人たちがヒーローになる。ユニクロが週休3日にしたりして、3日もどうやって遊ぶのかって思ってる人たちが結構いると思う。だから、遊び方を教えてあげるっていうのはすごく大きな産業になってくるはず」と堀江氏。

 林氏も「"感動させることができる"っていう意味でもエンターテイメントなんだと思う。人々の無意識下に働きかけるものは何か?と考えると、五感だったりするわけで。だから、どれだけ多くの人の感覚を刺激できるかが結局お金つながっていくような気がしている。まさにロボットが浸透した最後に残る人間の仕事が、エンターテイメントとかホスピタリティになるのではないか」と続ける。

 一方、中野氏によると、労働力が機械に代替されても、自己実現的な欲求を満たすことが人間には必要だといい、その理由を次のように説明する。

 「機械の登場によって、専業主婦の概念が変わった。昔は安価で労働ができる家庭に備え付けの一台としての主婦だった。飯炊きから掃除、洗濯といった家事労働全般から子育てまでとても大変だった。ところが、今はそれを全部機械がやってくれるようになり、いまや専業主婦は憧れの存在。そもそも働かなくても男性が一生養ってくれ、子育てもアウトソーシングできるのに、結構不満を抱えている人が多い。なぜか?というと自己実現できないから。誰からも存在価値を認めてもらえないから。この要求は機械にはなかなか代替できないかもしれない。もしかすると、そこを埋めるのがエンターテイメントかもしれない」

 次に、「すでに都市のインフラは整っているし、AIや機械に頼れば私たちは集団で生きなくても生き延びられる時代になってきている」と中野氏が語るように、AIや機械化が進んだ社会は、人々のコミュニティにも変化をもたらすことも予測される。その極論として、パネリストからは"義務教育廃止論"が相次いだ。

 「日本の義務教育制度というのは、もともと軍隊を作るための国民国家の成り立ちの上にあって、極限の環境下で同期の人たちとずっと一緒に集団を大事にする教育が必要だったから。でも今はそんなこと意識する必要ないし、個々人で生きられるからいらないと思う。小学校とかがいじめの温床にもなっているし、義務教育を受けなくてもいいという選択肢があってもいい」(堀江氏)

 「アメリカでは週休2日よりも3日のほうが教育効率が上がるという教育学のデータがある。それなら週休7日のほうが教育効率上がるのでは?と思ったりもする。学校ではできない子のためにリソースが割かれるから、できる子は行くだけムダ。Eラーニングで自分でやったほうが遥かに早い。よく"イノベーションはどうして日本には生まれないのか?"と聞かれるが、当たり前。目立つ子はそれだけで排除されるし。質問されるたびに、学校教育を変えたらどうかって思う」(中野氏)

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