ウェアラブルテクノロジのカンファレンス「Wearable Tech Expo in Tokyo 2015」にて、スマートガーデニングシステム「Edyn(イデン)」を製造する米Edynの創業者ジェイソン・アランブル氏が、その戦略とここまでの成功の軌跡を披露した。
Edynは、Kickstarterでプロジェクトをスタートさせ、わずか3日間で目標の10万ドルを達成し、最終的に38万ドルの資金を集めた、農場・園芸向けの監視デバイスだ。畑の土壌に差し込んで使う「Edyn Garden Sensor」と、それと連動する既存の給水設備と組み合わせる「Edyn Water Valve」のセットで、約160ドルの値段で販売している。
Edynを導入することで、主に作物への水やりを自動化できる。Garden Sensorで温湿度、土壌の肥沃度、光量などを検知し、Wi-FiでそれらのデータをWater Valveに送信。データ内容に応じてバルブの開閉を自動制御することで、その植物や状況に最適なタイミングで、最適な量の水を供給できるようになる、という仕組みだ。
iOS/Android搭載のスマートフォンとも連携でき、専用アプリを使って遠隔からGarden Sensorが取得した情報を閲覧する機能や、土壌の温湿度に変化があった際にスマートフォンに通知する機能もある。
また、アプリ上でどんな植物・作物を生産するのかをあらかじめ用意された5000種類ほどから選び、その植物・作物に適した水の量の情報などを得ることも可能。もちろん防水仕様で、太陽光発電により動作する。内蔵バッテリも備え、太陽光で電力が得られなくても最大2週間稼働するのも特徴となっている。
アランブル氏は「もともと農業畑出身で、世界中の農業従事者に新しいテクノロジの導入を支援してきた」人物。農業では何千年も前からイノベーションがなく、同じことをしていると気付き、「ガーデニングや農業をするうえでテクノロジが必要だと感じた」のだという。
従来の農業の手法では、水やり1つとっても、タイミングも量も適切ではないことが多く、道路や歩道など無関係な場所に散水している場合さえあり、「スプリンクラーをはじめとする灌漑システムがスマートではない」と語る。米環境保護庁の調査では、灌漑用水の40%は実際には無駄になっているというデータもあるとのことだ。
Edynの本拠、シリコンバレーを擁するカリフォルニア州は、米国における最悪クラスの干ばつを経験しているほか、米国各地も水不足にあえいでいる。世界的にも水不足の問題は大きい。同氏によれば、真水資源の8割が灌漑用水に用いられているとし、ひとたび水不足が深刻化すれば農業と作物の生産に直接的にダメージを与えるのは間違いない。
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