Wearable Tech Expo 2015 Kickstarter

世界的な水不足、食料不足の危機を救う?--農場をIoT化する「Edyn」の戦略 - (page 2)

店頭販売もスタート。開発・サポート体制重視が決め手か

 Edynはこうした状況を改善する1つの手段になりうる。適切な量の水供給によって水道使用量を節約でき、作物生産量の向上を図ることができる。農場への導入拡大については、ガーデニング製品も取り扱う米ホームセンターチェーン「Home Depot」で店頭販売が開始されたことも追い風だ。Home Depotからの出資を受けて生産ラインを整え、7月から900ほどの店舗にEdynが置かれるようになったという。

 また、ベンチャーキャピタルなどからも資金援助を受け、IoT、機械学習、モバイルアプリ開発、ハードウェア開発の各専門家が同社に集い、Jawboneのデザインもしている世界的なインダストリアルデザイナー イヴ・ベアール氏と手を組んで製品デザインを行った。「消費者が求める製品は、機能だけでなくルック&フィールも大事」との考えからだ。

 Kickstarterのコミュニティから得たフィードバックも製品開発に活かしている。当初は内蔵バッテリの寿命について2年間を想定していたところ、コミュニティからの強い要望によりバッテリーの仕様を大幅に変更、7年間動作するよう改善を施した。こうした堅実な体制の構築とユーザーオリエンテッドな活動の積み重ねが、店頭販売するに至った理由の1つともいえるだろう。


Edynの今後の展開。膨大なデータの有効活用を狙う

ハードの高性能化で広大な農場をカバー。生産量の予測、室内栽培への対応も進めるようだ

 今後は、世界中にあるEdynから収集して得たビッグデータを機械学習によってトレンド分析し、それを元に農業従事者に情報を還元していく考え。植物・作物に関するデータベースをさらに充実させ、多くの作物をあらゆる場所で簡単に生産できるようにする情報を提供するほか、日本を含むアジア、ヨーロッパへの国際展開も視野に入れる。さらに、水の使用量を継続的に削減することで、水道局からリベートを受け取れる仕組みの検討も進めているようだ。

 製品自体もアップデートを図る。無線機能を拡張し、複数のセンサからのデータを同時に可視化できるようにすることで、より大規模な農場でも活用しやすいハードウェアに進化させていく。「農業革命を世界中で起こしたい」と語る同氏は、Edynがいずれは世界中で問題になることが予測されている食糧不足をも解決に導くデバイスとして普及することを期待しているという。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]