スマートフォンネイティブが見ている世界

「LINEバトン」で流出も--顔写真や個人情報を自ら晒す高校生 - (page 2)

誰とでも友達になる高校生たち

 そもそもLINEは友達にならないと見られないもので、検索の対象にもならない。ところが、高校生たちはLINEの友達基準が緩い。高校生と話をすると、「Twitterで趣味の話で盛り上がったら、続きはLINEグループで」という話をよく聞く。その結果、ネットで知り合っただけの見知らぬ他人が個人情報を見る可能性が高くなるというわけだ。

 自分のことを書き込むだけならまだいいが、高校生たちは友達の個人情報も気軽にSNSなどに書き込んでしまうことがある。実際、コメント欄などに友達の本名や学校名、最寄り駅などを書き込んでいる例を見たことがある。個人情報に関する危機意識が薄いため、自分だけでなく友達まで危険に巻き込んでしまうのだ。

Twitterで行動を公開してストーカー事件

 高校1年女子B奈は、自分の言動をすべてTwitterで公開している。朝起きた時から、食べたもの、駅に着いたこと、学校に着いたこと、友達と話したこと、寝る時間まで、それこそ逐一リアルタイムに投稿する。いつものように帰宅しようとしたB奈は、学校の最寄り駅近くで見知らぬ男性に「B奈ちゃんだよね。待ってたよ」と言って抱きつかれたが、偶然通りかかったサラリーマンに助けられてことなきを得た。

 B奈は、顔写真はもちろん、高校名も公開していた。また、彼女のツイートを見ていれば、行動範囲や時間帯は丸わかりの状態だった。もちろんアカウントには鍵をかけておらず、誰でも見られる状態となっていた。個人情報を出し過ぎるとどうなるのか、危険性についてまったく考えていなかったために起きた事件といえる。

 そのほか、SNSで友達としてつながった後に、個人情報を聞き出され、アカウントを乗っ取られた例もある。犯人はアカウントを乗っ取った後、なりすましでその人のSNS友達に連絡を取り、金券を買わせたというのだ。中にはSNS経由で会話し、仲良くなったところを誘い出して、無理矢理JK(女子高生)ビジネスをさせられた例もある。

 個人情報を出し続けた場合、個人の特定は容易になる。個人情報はいくらでも悪用できてしまう。上記のような事件につながるだけでなく、就職活動や結婚の時などに調べられることもある。うっかり問題ある投稿をしてしまった場合に、炎上して個人情報をさらされる可能性もある。

 もはや、個人情報はあふれかえってしまっている。自分で出さずとも、他人に出されてしまう例もある。しかし、それでもできる限りの自衛をしていかなければ、さらに危険な目に遭う確率は高まるだろう。保護者は、10代の子どもたちに個人情報管理の大切さを教えてあげてほしい。知り合いとのみ友達となり、情報の公開範囲を限定することで多くの危険は防げるはずだ。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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