可処分所得が低い10代は、コンテンツはなるべく無料で入手したいという意向が強い。すべてを無料で手に入れようとして、その挙げ句、違法コンテンツに手を出してしまうケースも多い。10代のこのような行動における問題点を考えていこう。
「音楽は絶対に買わない。ネットで探せば何でも無料のものが見つかるし、みんなそうしているから」と高校2年男子A夫は言う。A夫いわく自身は無類の音楽好きで、音楽抜きではいられないと言うが、音楽を聴くために利用するのは主にYouTubeだ。「CDで聴いた方が音がいいと言われるけれど、それほど差は感じないし、聴いて楽しめれば十分」。
高校生でもCDを買ったり、ライブに行くことはある。しかし、一部の大ファンのミュージシャンやバンドに限定され、それ以外の少し気になる、流行っている程度の音楽はすべてYouTubeで済ませる傾向にある。
高校1年女子B子は、好きなミュージシャンのCDは買って保存用にとっておき、普段聴くためにはやはりYouTubeを利用するという。「CDプレイヤーを持っていないし、あってもわざわざCDをプレイヤーに入れるのは面倒くさいと思う。その点、スマホならいつでも聴けるから便利」。大人世代にはハイレゾ音源が流行しているが、10代にとって音楽は音質ではなく、無料であることが重要なようだ。
日本レコード協会の「2013年度音楽メディアユーザー実態調査」(2014年3月)によると、10代は「普段から音楽を聴いている」「昔から好きだったり、気になるアーティストがいる」など、音楽の接点が他の年代よりも高い。一方、中学生から20代のマーケットシェアは年々減少傾向にある。10代のCD(セル)の年代別シェアは38.0%と前年と同水準を保つ一方、有料音楽配信の年代別シェアは前年の30.9%から21.75%にまで減少している。
中高生の場合、「テレビよりネットで動画を見る」という割合が高めだ。高校1年男子C佑は、テレビよりもスマートフォンでテレビ番組を見ることを好む。テレビ番組を見るなら、テレビの大きな画面で見ればいいと考えるが、そうではないらしい。C佑の考えは、「テレビは何を見ているか親にも分かるから面倒くさい。スマホなら自分が見たい時に好きな番組が見られるので、趣味に走った番組も見られるしいい」という。
他にもC佑は、深夜番組などの録画が面倒な時に、翌日にインターネットで探して番組を見ている。映画なども見るというC佑に画質や音質について尋ねたが、「特に気にならない。特に好きな映画はテレビで見たりするが、そうでなければスマホの画面で十分」と答えた。
ニールセンの「スマートフォン・メディア利用実態調査」(2015年6月)によると、10代で「映画やドラマなどの動画」をスマートフォンから視聴する割合は他の世代より高く、5割(55%)を超えた。また、今後利用したい「映画やドラマなどの動画」のデジタルコンテンツのサービスプランについて、13~19歳の48%が「広告表示で無料で利用したい」と回答した。これは他の年代に比べてはるかに高い。
無料の場合、広告を見たり、クリックしたりする必要があるなど手間がかかることが多いが、彼らはそのような手間も厭わない。可処分所得が低く可処分時間が余っている10代の選択だ。
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