スマホの普及により、スマホ依存、ネット依存となる子どもが増えている。保護者からの相談も、「子どもが家にいる間中スマホでLINEを使っている」「スマホを持たせたらはまりすぎて成績が下がった」というものが目立つ。スマホ依存、ネット依存は、大人も巻き込んだ大きな問題となっているのだ。
ネット依存外来を持つ成城墨岡クリニックによると、2007年から2013年の7年間で初診患者数は81人から285人、つまり3.5倍に増えている。患者は10代~20代の若年齢層が中心であり、平均年齢は17.8歳。患者は1日10~11時間ほどスマホをいじっているという。患者のスマホ依存、タブレット依存は2011年頃から見られ始め、2012年には7割を占めるまでになっている。2013年は、ほとんどスマホやソーシャルメディアに関する問題となったそうだ。
警視庁が小中高校生を対象に2014年にアンケートを採った結果を見てみよう。アンケートでは、次のような10の依存行動の経験を尋ねる質問を作り、それぞれの項目に「当てはまる」と答えた場合を1点とし、高い方から「高依存群」「やや依存群」「低依存群」としている。
アンケートの結果、高校生は41.3%、中学生は31.7%、小学生は7.1%が高依存傾向となった。依存傾向が高いと、どんな問題が起きてくるのだろうか。
同調査によると、依存傾向が高い子どもほど、「寝る時間が遅くなった」(65.6%)、「成績が悪くなった」(36.8%)、「メールが送られていないかいつも気にする」(52.8%)という傾向にある。同時に、ネット上で知り合う見知らぬ相手とやり取りすることについて、依存傾向が高い子どもの方が「いろいろな人と知り合うのは楽しい」(40.6%)と肯定的な意識を持っており、「ネットで知り合った相手と実際に会った」(15.5%)子どもも多い。
ネット依存傾向が強いと、生活上好ましくない変化が起きやすくなることは確かなようだ。保護者は、この点を自覚して子どもに利用させるべきだろう。
小学5年女子A海は、家庭ではずっとスマホでLINEをいじっている。スマホを買ってもらったのは仲良しグループでは遅い方であり、始めてすぐにのめり込んだ。やがて、トイレでもお風呂でもスマホを手放さないようになった。
「学校で眠そうにしている」「保健室に来ることが増えた」という連絡を担任からもらった時には、すっかりLINE中毒状態となっていた。後で分かったことだが、A海は布団に入った後も連日深夜1時、2時までLINEを利用しており、学校でも隠れてトイレで利用していたという。
A海は仲良しグループのほか、クラスのグループで頻繁に発言していた。同じグループに入っている子どもいわく、A海は既読を付けるのが早く、返事もとても早いため、いつ寝ているのかと思っていたという。
体調不良で欠席が増え、見かねた保護者は、A海にスマホの利用を控えさせる必要性を感じた。スマホを取り上げたところ、A海は泣きわめいて暴れ出したという。「LINEを見ていなきゃ何があるか分からない。見ていない時に何かあったら責任取ってくれるの?」と叫んだそうだ。A海くらい中毒症状が進んだ場合は、いきなり取り上げるのは難しい。
依存状態になりやすい子どもにはある特徴がある。全体に、部活動や習い事、受験勉強などに邁進している子どもはネット依存にはなりにくい。つまり、やりたいこと、やらねばならないことが分かっている子どもは、ネット依存になりにくい傾向にあるのだ。逆に、やりたいことややらねばならないことがない子どもが、自分のよりどころを求めてLINEなどにはまってしまうというわけだ。
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