シュワルツ氏:ラングリッチはよいブランドなので、そのまま続けるつもりでいる。統合後のプロダクトを、まず日本にフォーカスして展開するため、ユーザーの反応を見ながらどうするかを考えたい。
日本でのユーザー数の目標として、今後2~3年で、有料会員を10万件獲得したい。フリーのユーザーも大事だが、私たちが最も重視しているのは、有料会員になってもらうこと。
「1億ユーザーを突破した」などと喧伝している企業もあるが、それは本当のユーザーではない。今はそのサービスを使っていないかもしれないし、お金もいただけない。
松村氏:登録ユーザーは(広告を打つなど)お金で買える。しかしアクティブユーザーは、製品がしっかりしていないと獲得できない。まずは日本に最適化して、成功してから世界に展開する。
--日本市場で課題はあるか。
松村氏:課題というか障壁になっているのは、DMMさん(DMM英会話)とレアジョブさん(レアジョブ英会話)の鬼のような資金投下。これに対抗していくとなると、投下しなければいけない金額がかなりかさむ(笑)。
資金の使い方のプライオリティに違いがある。僕らの最優先事項は、英語教育と英語学習教材を作っていくこと。同じ1億円があったら、それは教材開発や、お客さまの声を集めるために使いたい。
日本では「まず(広告などに)資金を投下して人を集めてしまえ」という傾向がある。そこに資金を割くと技術の進化が遅れ、プロダクトの作成やブラッシュアップの邪魔になる可能性がある。グローバル展開を目指すECとしては、そのやり方では(目標の達成が)難しいと思う。
広告などのプロモーションに資金を割かないと、相対的に他社の知名度に及ばなくなる可能性が高い。「僕らもよいものを持っているのに苦しい」という状態になる。
しかし、おかげさまで、ユーザーはこれまでクチコミなどで集まっていて、広告費はほとんど使っていない。その路線で続けながら、2015年は少し、(広告宣伝費を)投下するところは投下していこうと思っている。あまりクソ真面目にやっているだけではマーケットはとれない……それは実感しつつある。
シュワルツ氏:DMM英会話は、セレゴ・ジャパンの言語学習サービス「iKnow!」を譲受し、オンライン英会話だけではなくて、自主学習が組み合わさった。我々や彼らだけでなく、英語学習サービスの多くはこの戦略をとると思う。英会話には練習(自主学習)が必要であると同時に、本番で話すこと(オンライン英会話)が効果的だから、それが当たり前。ただし、技術を開発するチームがいないと成功は難しいと思う。
--どのようにプロモーションを打っていくのか。
松村氏:僕らがバリューとして前面に押し出したいのは「結果が出る」こと。そこに関しては他社に負けない自信がある。まず丁寧に「結果」をユーザーと一緒に集めていく。その結果をもって、僕らが言っていることは信ぴょう性がある、こういう風に伸びる、これが証拠、という風にマーケットにメッセージしていく。
ありがたいのは、大学での評判。ECは日本や米国の大学で採用されており、日本では、千葉大学や熊本県立大学など約200大学にご利用いただいている。学生はいずれ卒業し、代わりに新入生が新たなユーザーになる。卒業生は入社した会社などでECをすすめてくれているようで、すでに毎年、数万人に訴求できている状態ではある。
また現在は、大学受験にスピーキングを取り入れる動き(PDF)があり、政府が指針を作り始めているため、高校からもお問い合わせをいただいている。
--ラングリッチの次に増やしたい領域はあるか。
松村氏:ECがインフラになると考えて「ソーシャル」を加えたい。ただ、中には勉強していることを他人に知られたくない、という人もいると思うので、それは様子を見ながらになりそうだ。
米国では、業界の中でずばぬけて「すごい」と認められる、1000億円ほどの企業価値を持つ会社を「ビリオンダラーカンパニー」という。オンライン英会話や英語業界ではまだそんな会社はないが、特に米国では「EdTech(エドテック、EducationとTechnologyの造語)」がブームになっていて資金調達のニュースが目立っている。そのため、この業界のビリオンダラーカンパニーは絶対に今後数年間で出現すると思う。
願わくば、僕らがその一番乗りをしたい。
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