カリフォルニア州パロアルト発--トヨタ自動車は米国時間9月4日午前に開かれた記者会見で、5000万ドルを投じて、人工知能(AI)技術を道路や家庭にもたらすための共同研究施設をスタンフォード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)に設立すると発表した。米国防高等研究計画局(DARPA)の防衛科学研究室(Defense Sciences Office)でプログラムディレクターを務めていたGill Pratt博士が、5年間にわたるこの共同研究を指揮する。
半自律型技術は、自動車業界において現時点で既に普及しつつあり、前方車両との安全な車間距離を維持するACC(Adaptive Cruise Control)や、車両が車線内にとどまるように制御するLDP(車線逸脱防止支援システム)に利用されている。しかし、Pratt氏によると、高度な運転者支援の開発において、この段階までは容易に達成できる部分だったという。トヨタがスタンフォード大学やMITの支援を得て実現したいと考えている困難な部分とは、刺激に反応するだけでなく、周囲の環境に関する複雑な判断を下し、自然かつ人間の運転者に呼応して対応することのできる、スマートなマシンを開発することだ。
トヨタ関係者らは、この発表に続く質疑応答で、人工知能は自律走行と必ずしも等価ではないが、2つの技術は当然リンクしていると述べた。例えば自律走行車には、地図データの不正確な部分を正しく解釈したり、歩行者に対応したりすることのできるAIが必要になる。 しかし、人間が運転する自動車も、AIによって機能を拡充することができる。
MITのコンピュータ科学・人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory:CSAIL)のDaniela Rus教授と、スタンフォード人工知能研究所(Stanford Artificial Intelligence Laboratory:SAIL)のFei-Fei Li教授は、「人間を中心とする」人工知能における自身の目標についてそれぞれ語った。
Rus氏は、運転者の気分が落ち込んでいることを認識して、お気に入りのアルバムを再生したり、運転が攻撃的になったり注意散漫になったりしないようにより慎重に監視したりする、仮想的な自動車AIの例に挙げた。この未来のAIはさらに、運転者が母親に電話するのを忘れていることに気づいて通知したり、通話中に運転者が会話に気をとられて注意散漫になっているようであれば自律走行機能に自動的に切り替えたりすることもできる。このような車両は、いつ自動介入するべきかを判断できるほど賢く、ときには運転者よりも高い判断力を発揮する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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