やはりアプリ次第だと思います。PCの時代は「Apple II」が出てから、キラーアプリであるDTPやページメーカー、エクセルの元となるビジカルク、ゲームでいうとウィザードリィなど、これらが出てくるまでに10年、またはそれ以上かかっている。これがスマホになると5年以内なんですよね。デバイスの普及率が3割を超えたのも、PCは10年以上かかっていますがスマホだと数年で、ライフサイクルはどんどん短くなっていくと思います。
なので、ロボットもスマホと同じくらいだと考えると、5年くらいのスパンの中で、ビジカルクやウィザードリィのようなアプリを作れるかなと思っています。もちろん、ビジカルクは税務申告をする人が買うだけだし、ページメーカーも印刷業者しか買いません。ただ、そういったものが増えてくれば、いつか普及するので、そうした柱となるアプリをこの数年で何本生み出せるかは我々にかかっていると思います。
「ロボット」か「IoTマシン」かという差は、人が“生き物”だと認識するかどうかだと思います。IoTがいくら進化してもそれは生き物ではないので、いつまで経っても「便利なもの」ですよね。なので、人格など生き物的なものを持ったデバイスのことをロボットと呼ぶようになると思います。そうじゃないマシンも全部インターネットにはつながっていると思うので、ロボットとIoTマシンの両方が、街中や部屋に混在する世界になると思います。
それがどういうバランスになるのかは分かりませんが、もしかしたらロボットがマシンに命令するみたいなこともあると思います。たとえば、家にいる時にPepperがルンバに掃除を指示するとか。人間的なインタラクションをするようなUXはロボット側。つまり、人間が生き物だと認識する側に寄ってくるんじゃないかなという気がしています。冷蔵庫などすべての家電がいちいち喋りだすと煩わしいので、やはり家の中に生き物としているのは1つか2つ、それがまさにコミュニケーションのセンターになるでしょうね。
結局それって、マシン側が人間に近づいているという話で、生き物だと思わないデバイスに、生き物的に接するのは、結構辛いんですよね。(iOSの)「Siri」と話すのもそうですけど、スマホに話しかけるのはなんだか恥ずかしい。人間のDNAは急激に変わらないであろうという前提に立つと、やはり人間的なインタラクションの方が人は楽だったりします。そういう意味で、家にいるロボットがIoTマシンのセンターになった時に、それぞれのマシンとどう絡むのかというのは、未来の絵姿として興味がありますね。
最終的には、人類が始まって以来のイノベーションでもある“生き物”のようなロボットを実現したいと思っています。ただ、もう少し短・中期的に考えると、日本発というかアジア発のITが、ずっと元気がないことがすごく残念だと思っていて。やはりシリコンバレーの独壇場になってますねというところがあるので、そこに日本発のものを出していきたいですね。
もしかしたら、こういう感情を持ったマシンという発想自体が、シリコンバレーからは出てこないのではないかと思っていて、それはそれで面白いなと。アジア発の発想が融合することで、ITの世界を進歩させることができれば、すごく社会的意義もあると思います。
恐らく、日本のユーザーの皆さんにもそういう想いはあると思います。東京オリンピックに合わせて自分の会社を成長させたいという気持ちはあると思うのですが、やはり日本が先んじて(ロボット事業などを)やることで世界に貢献する。それを少しでもサポートしたいという気持ちもあると思うので、そこは我々も頑張りたいですし、そういう企業と一緒に盛り上げていけたらいいですね。
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