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シンガポール発のコスメEC「Luxola」--巨大高級ブランドLVMHが買収

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 「Luxola(ラクソラ)」はシンガポール、マレーシア、インド、アラブ首長国連邦などアジア12カ国にサービスを展開する美容用品のオンラインストアだ。ティーン(10代)向けのカジュアルなメイクアップ用品からラグジュアリーブランドのアイテムまで、150以上の美容ブランドを取り扱っている。

 ストア内にはスキンケアやネイルケア用品、メンズケアの商品も並んでおり、取り扱うブランド数・商品数ともにコスメ系のオンラインストアとしてはアジア随一だ。


Luxolaのサイトのトップページ

 同ストアは2011年6月に、女性起業家のAlexis Horowitz-Burdick氏によってシンガポールで開設された。美容やコスメに特化したのは、彼女自身の美容やスキンケアに対する情熱やこだわりが強かったことと、東南アジアで美容市場のマーケットリサーチをした際に、大手の信頼を得ることができる美容Eコマースがなかったことがあげられる。

 東南アジアへ進出する企業向けにコンサルティングをしていたキャリアもあることから、彼女の女性としての「感性」とビジネスパーソンとしての「直感」が美容コスメのオンラインストアというビジネスモデルを形成した。Tech in Asiaの発表によると現在Luxolaは875万ドルの総資産があるとされている。


Luxolaの創業者 Alexis Horowitz-Burdick氏(本人のリンクトインに掲載されている写真)

 Luxolaのサイト内には美容商品の販売ページ以外にも、トレンド商品を紹介する読み物コンテンツやメイクアップ方法を紹介する映像コンテンツもある。画像を大きく使ったデザインが特徴だ。さらに、購入者は商品に対して評価・レビューができるため、口コミを参考にする女性ユーザーに好まれる設計になっている。

 Luxolaは、創業から1年後の2012年8月にはシンガポール国立財団が支援するベンチャーキャピタルのWavemaker Labsと個人投資家から約6600万円の資金調達を実施。2013年にはグリーベンチャーズとトランスコスモスからも投資を受け、大きく成長した。その資金力で社員数を増やし、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピンにビジネスを拡大していった。

 創業から4年が経った2015年。アジアのスタートアップ業界では、Luxolaの次のステップは売却か株式公開ではないかという噂も立ち始めていたが、7月に発表されたとおり、世界規模で高級ブランドのビジネスを展開するLVMHのグループ企業Sephoraに買収されることになった。

Luxolaを買収したSephoraとは

 Luxolaを買収したSephoraは、コスメ商品や香水を専門に扱う小売ブランドであり、世界29カ国に1900店舗以上の直営店を展開している。

 東南アジアでも事業を展開してきたものの、欧米市場を主戦場としてきたSephoraは、今回の買収によってLuxolaが培ってきた東南アジア市場のユーザーデータやペイメントシステム、物流網といったリソースを手に入れた。これを機に一気にアジアの美容市場に入り込んでいく狙いがあるものと思われる。


Sephoraはフランス最大手のコスメティックブランド。フランスやアメリカで人気がある(©MikeMozart,2014)

 LuxolaのAlexis氏は、シンガポール大手紙のザ・ビジネス・タイムスの取材に対して、「Luxolaは東南アジアの美容オンラインストアで、ナンバーワンになるために尽力してきた。Sephoraは同地域でナンバーワンの美容小売業者で、今回の提携は両社のさらなる発展にとって重要な判断だと考えている。アジアの細分化した市場によりアプローチし、取り扱うブランド数を増やしながら、ユーザーエクスペリエンスが優れたサービスを提供していく」と語った。

 同氏は今後、SephoraのEコマース事業のアジア統括に就任する予定だ。

 Sephoraを傘下に収めるLVMHグループには、ルイ・ヴィトンやセリーヌのほかにも、クリスチャンディオールやタグホイヤーなどの世界的な一流ブランドが名を連ねる。同グループは近年、東南アジアにおける企業買収に活発で、過去5年間でシンガポールの女性向けファッションブランドのCHARLES & KEITHをはじめ、レストランやナイトクラブなどを次々と傘下に加えている。

 アジアの美容市場は大きく、Eコマースは今後ますます盛り上がっていくといわれている。世界有数のブランドグループによる今回のLuxola買収は、それを裏付ける象徴的な出来事だろう。Alexis氏が話したとおり、アジアの細分化した市場で、LuxolaとSephoraが店舗とEコマースをいかに掛け合わせて事業を展開していくかが、今後のポイントになりそうだ。

(編集協力:早川すみれ、岡徳之)

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